この作品はいかがでしたか?
34
この作品はいかがでしたか?
34
カーテンの隙間から差し込んだ日差しで目が覚める。
時刻は12:41。
この昼夜逆転生活にも、特に何も思わなくなっていた。
「discord…はいろ。」
起きてまもなく、乾いた舌でボソリとつぶやき起き上がる。
ひとくち冷たい水を飲んでPCの前に座った。
ぴろん、と聞きなれた音を響かせていつものサーバーに入室した。
まだ昼間ということもあり、discordにいるメンバーは1人だけだった。
「…あ、おはよ、めろちゃん。」
目覚めて早々女神のお声が聞けるなんて幸せだなぁ、なんてことを思いながら挨拶を返す。
「おはよ、じゅうはっちー。」
(昼なのにおはようなんて、昼夜逆転が当たり前になってるなぁ…)
何となく謎の幸せを噛み締める。
「ね、めろちゃん」
「うん?」
優しい声に癒される。
「ごはんたべた?」
「いや…まだだよ」
「私今東京いるから、めろちゃんち行って一緒にご飯食べてもいい?」
突然の女神からのお誘いに、ボーッとしていた頭が一気に冴える。
「えっ!?もちろん!?!?」
「おっけー、じゃあ行くね。14時には着くと思うから。」
「わ、わかった」
勢いだけで返答してしまったが、準備なんて当然できているはずもなく、慌てて色々と準備をする。
洗面所へ向かい顔をバシャバシャと洗う。
ぱっと顔を上げると、目の下にかなり濃いクマができていることに気がついた。
(……結構寝てるはずなんだけどなぁ…)
…と、そんなことはどうでもいい、さっさと準備をしなければ。
服を着替え髪をサッと整える。
あとは散らかってしまっている部屋の掃除だけだ。
部屋を掃除していると、見覚えのない薬やらなんやらが大量に出てきた。
恐らく睡眠薬。錠剤のもの粉状のものも、液体のものまで沢山あった。ゴミ箱にはそれらのゴミが大量に捨てられていた。
なにか、なにか大切なことを忘れている気がする。
(忘れてるんだから、大したことじゃないか…)
それよりも今は女神が我が家へ来ることの方が一大事だ。タイムリミットまであと10分。
女神の領域に埃ひとつ落とすわけにはいかない…!
ピンポーン
インターホンがなる。
「いらっしゃい18号さん✨️」
「…お邪魔します、めろちゃん」
いつもだと罵倒をあびせてきそうなタイミングで優しく微笑むものだから、調子が狂ってしまう。
「キッチン借りるね」
両手に抱えたそこそこ大きな袋をカサカサといわせながらキッチンへと向かう。
「俺も手伝うよ…?」
「めろちゃんはゆっくりしとって、私が作りたいから。」
髪をまとめながら微笑む彼女に、思わず「女将さん…!?」と呟くと、彼女はいつものように眉を八の字にして大笑いした。
「向こうで待ってて、すぐ作るから笑」
手際よくぱっぱと食材を切り出したのを見て、部屋に戻った。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!