「できたよめろちゃん」
「おぉ…!!」
色鮮やかな野菜と高そうなお肉に目を奪われる。
「これ食べちゃっていいの…?」
「いいよ笑食べてくれなきゃ、作った意味がないでしょう?笑」
「あはは、だよね笑」
(でも、こんな豪華な料理、一人で食べるのは勿体ないなぁ………………)
「…あ、りぃちょくん達も呼んであげよう。俺達だけじゃ食べきれないし…!」
名案を思いつき口にすると、じゅうはちが固まった。
「!」
「じゅうはっちー…?」
「やっぱり、覚えてないよ…にきにき………」
じゅうはちは俯いたままぽそりとそう零した。
「覚えてないって、なにを……」
「りちょは――」
じゅうはちのその先の言葉を聞きたくなくて、咄嗟に耳を塞いだ。
「りぃちょくんのこと、?わすれてない、よ。なにも…」
「りぃちょくんは、女研のメンバーで、大切な仲間で、俺の恋人で、大切な人で……………………」
「昨日の夜だって、電話して……………」
どうしたんだっけ。
電話して、そこから、どうしたんだっけ。
たしかりぃちょくんは外にいて、それで、えっと………………………
深夜に見たニュース記事。
東京都○○区で、20代前半の男性が腹部を刺される。病院に搬送されたが、死亡。
被害者の男性は登録者30万人越えのYouTuber、
”““りぃちょ”““だと分かっており――
どうにかなってしまいそうだった。
りぃちょくんが、死んだ。
そんなわけが無い。
信じられなくて、信じたくなくて
早く次の日になって、りぃちょくんと話がしたくて
家にあった睡眠薬を口に詰め込みベッドに倒れた。
俺は確かに彼に会ったんだ。
彼と話して、彼に触れて、彼と一緒に眠りについた。
彼の頬の感触だって覚えてる。
彼と交した口付けの感覚も、全部、全部覚えてる。
死ぬ訳が無い。確かに俺は、彼は―――
「めろちゃん…おちついて………っ…」
気づけば、震えた声の18号さんが、俺を後ろから抱きしめていた。
「ぁ………」
自身の手には大量の錠剤が握られており、錠剤をしまっていた引き出しが全て外れていた。
「りぃ……ちょ…く…は…………っ…」
自身の息継ぎの音を最後に、意識が途切れた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!