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T 「 甘噛みの忠犬がよ〜! 」
T 「葛葉って犬みたい 」
T 「 ポメラニアン…あははっ 」
T 「 わんって鳴いてよ 」
K「くゥ~~ッッ!!」
相方がいる前で唇を噛み締め、声にならない声を出す。相方は驚きもせずにマネージャーと打ち合わせをしていた。俺のマネージャーは混乱しているが。
Kマネ「 ?あ、あの、ここなんですけど… 」
K「 ン?犬の話でしたっけ? 」
もちさんのことで頭がいっぱいになっている俺に呆れたのか、相方が台本を丸めて俺の頭を叩いた。
N「 葛葉!ちゃんとしろ! 」
K 「だって〜ェ!喉乾いたァ!血なんて飲んでないし!飲み忘れたし! 」
K( もちさんだ )
お手洗いに行こうと歩いてた矢先、今1番会いたい人(会いたくない人)に会った。
今血飲まないと……堂々と持っている輸血パックを片手に、葛葉は立ち止まる。
もちさんの前を通らないとトイレに行けない。遠回りをしたら確実にもっと血が欲しくなる。
回らない頭で考えながら目の前から甘い匂いが漂う。驚きで目を見開くとそこには先ほどベンチに座っていたもちさんが。
K「 うげッ!? 」
T「 甘噛みの忠犬の葛葉じゃん。何で立ち止まってたんですか。 」
最近もちさんの中で忠犬ムーブが来てるか知らないが、俺のことを犬扱いしてくる。
正直言って悪くはないが。
もちさんが覗き込むように俺を見る。それに伴い甘い匂いも強く。
頭がぐるぐると回る。落ちそうになる輸血パックを再び握りしめる。
T「 …?…あ、その手に持ってるのって輸血パック? 」
T「 …葛葉?何でこっち見ないの? 」
T「 ……ね、葛葉? 」
心臓がうるさい。暴れ回ってるみたいだ。
ごくりと生唾を飲み、もちさんの頭に手を添え、事務所の床に押し倒す。
甘い臭いの発生源の包帯だらけの指を絡め取り、口に近づける。
T「 待て待て待てッ!?これなんかのドッキリ?こんなドッキリ腐女子しか喜ばないよ!?どこターゲットにしてんのえにから!? 」
もちさんは上へと逃げようとしていく。それを見逃すはずもなく、俺はネクタイを取って首元を緩める。ゆっくりと首元を舐める。痛くないように、ゆっくりと。
T「 …はァ゛!?待て葛葉、お座_
K「 犬扱いすんのも程々にしてください 」
行き場のないネクタイをもちさんの口に巻きつける。
すごい優越感だ。いつも口では勝てないもちさんの上に乗って、事務所という真面目なところでこんな真反対なことをしているのだ。
T「 まっ…なめうな…っ 」
薄い皮膚に、わざと牙を当てながら優しく舐める。牙が当たるたびに恐怖で身体が跳ねるのが妙にエロくて興奮した。
そろそろいいか、と思ってもちさんの首元にカプリと牙を立てた。
その瞬間、もちさんが大声で叫んだ。
T「 おすわひ!!! 」
K「 声デカッ… 何でそんな犬扱いするんスか。俺に犬になってほしいンスか?もちさんのためなら成りますよ。誘われたら断らないし、一緒に遊ぶし、一緒の家に住むし、たまにはオレから誘うし、もちさんの忠犬になります 」
葛葉の頬が赤く染まり、一旦身を引いた。剣持がそれを見逃す筈もなく、上半身を起こす。
すると、葛葉にとっては愛する人が目の前にいるのだ。否、鼻が触れ合う距離。
いつのまにか喋れないようにしたネクタイも解けている。
意志が強い翡翠の瞳に撃ち抜かれる。
T「 …僕、駄犬嫌いなんですよ。ご主人様の待ても出来ないんですか? 」
K「 …っ 」
葛葉の心臓が再び激しく鳴る。
葛葉はゆっくりと目を瞑ると、剣持がさらに距離を近づける。服が擦れる音がする。
T「 …葛葉…っ 」
自分の名前を甘く呼ぶ声に、目が眩んだ。
…8秒
T「 っおらぁッ!!!! 」
K「 ごふッッッ!? 」
思いっきりの膝蹴りを葛葉の腹にゴールインさせた剣持。横に倒れ、蹲る葛葉を退かし、はだけたシャツをそのままにして逃げる。
T「 未成年淫行罪だわバーカ!!駄犬!! 」
K( やられた… )
血によって乾いた喉と膝蹴りで葛葉は意識が朦朧としていた。これ死ぬ、とか思いつつもこんなところで死んだら馬鹿すぎる、とか思う。
T「 ……あーっ!もう!まぁ流石に申し訳ないし… 」
ゆっくりと飲み込む葛葉を見ながら、殴りたい欲を抑える。
T「 僕の血、美味しいのかな…? 」
輸血パックを飲ませ、それでも起きなかったため自分の指先を大分切り(プライドが許さないため少しだけ)指を咥えさせている。
輸血パックを飲み干した後より、僕の血を飲んでいる方が顔色がいいのはムカつく。
K「 ァ゛… んぐ……っ」
膝枕をしているため、なんか媚びみたいで嫌だが、仕方がない。人命救助。
こうしてみると本当に犬みたいだな、と思う。
犬というワードを口にするだけでも先ほどの出来事を思い出すが。
T「 葛葉と一緒に住んだら楽しそうだけどね… 」
空いている片手で葛葉の頭を優しく撫でた。
この出来事で変に意識して葛葉がさらに猛アタックかけるのが見たい。自分的にくずもちは末っ子コンビだからお互いにガチ照れしてほしい。絶対ぎこちない。ピュア恋愛みたいな感じになりそう。