「あった」
俺が指さした先は、人だかり。
あの中に、願いの礎がある。
sm「…どうしよう、」
「…うーん、でも発動させるのにも結構力いるよね?」
sm「うーん…」
男「おーいスマイル!」
「…、お前生きてたんだ」
男「失礼だな……って隣にいるの!」
「…っ、」
まずい、俺…
男「…マント見えずらくないの?スマイルも前つけてたよね?」
sm「意外と見えるよ」
男「へ〜?」
…っ危な、てかこれそんなに見えないんだ
「そうそう、見えるよ、意外と」
男「そうなんだ。」
sm「これからどっか行くのか」
男「戦地さ、今俺らの方が有利らしいぜ」
sm「…そうか、」
男「じゃあな!」
そう言って、空の彼方に消えていった。
「…このマントすごいね」
sm「…魔法がかかってる。お前もあんまり見えなかっただろう。」
「あんな感じになってるんだね〜よく見えるのに。」
sm「…」
彼も気が気ではないだろうな。
自分の味方達が押されているなんて言われたら……
俺はそこまで気にしてないけど…
sm「あんまり近づきたくないな…」
「…ね、でも行くしかない…」
sm「…とりあえず…もうここも戦場みたいなもんだ、気を引き締めていこう。」
「言われなくても!」
そう言って、飛んでくる被弾を裂けながら、核心に迫っていく。
来る光を光で返して
はねる反射を光で包む。
「どいてどいて!」
敵「なんだこいつ!?」
敵「光のヤツらを殺せ!」
味方「いけ!闇のヤツらに負けんな!」
もう少し…ッ!
段々と血飛沫がマントに染み付き、やがて頬にもまとわりつく。
鉄の匂いと焦げの匂い。
銃が放たれる度、血が増えて
魔法が放たれるほど、死体が増える。
そうして、人混みの中
水色に光る石が見えた。
「っあれだ!」
敵「おっといかせねぇよ!」
「ッ!邪魔だ!」
相手から放たれた魔法弾を交わして、腹に一つ拳を決めれば、もう彼は地面と抱きつき合う。
敵「なんだこいつ!?」
敵「いかせるな!」
「あ”〜しつこいな!!」
杖を思いっきし点にあげる。
段々と持つ手が熱くなっていく。
杖の先にか輝かしい光が集まっていく。
「トニトルース!」
呪文詠唱と共に、力強く振り下ろせば、
空をかき分けて地面に鳴り響く。
あたりは金色に染まり
うめき声が漏れていく。
感電して倒れていく人々。
いくつかの横たわる体。
それらを交わして見た先は、スマイルが願いの礎に手をかけているところだった。
sm「お前おっかないな…」
「これでも首席卒業してるんでねぇ!」
まだ気絶していない奴らを片付けながらそう答える。
味方「その礎に触れるな!この愚か者が!」
敵「やめろ!この扉を閉ざすな! 」
味方「今すぐにでも闇のヤツらをひれ伏せてやる…!」
敵「手に収めるのは我らだ!」
っ、まずい…!スマイルが!
囲まれたスマイルは、少しも焦る雰囲気を見せない。
sm「…」
彼の周りが紫色…いや、黒色か?
sm「イグニース」
そうボソッと呟いて、杖を目の前に向ける。
そうすれば、囲っている奴らの足元が吹き抜けて、彼らを闇に落としていく。
「…お前もおっかねぇよ…」
すぐさま彼は願いの礎に杖を向けなおして
本を片手に復活化の詠唱を始める。
「…あの本…いつの間に…」
あの詠唱はとても長い。
彼の囁きで始まる、歴史の変化
寄ってくる奴らを対処しながら、その時を待っている。
ただ、かなりの魔力が必要だ。
止めたいという人々の沢山の力がなければ不可能だ。
しかし、何人かは彼に協力して力を貸してやっている。
「…邪魔だって!!」
うじゃうじゃとわいてくる邪魔者達を退けるのに精一杯で、彼を気にかけることが出来なかったのが、運の尽きだろうか。
男「っなんだあれ!」
「っえ、?」
その声に振り返った時には、もう遅かった。
彼の上空を見上げれば
なんと、この争いの根源
水色の杖が
スマイルに向かって制裁を下そうと
自我を持ち動いていた。
他の奴らが、動かしているんだ、あの杖を…
スマイル!!!
そう呼びかけても遅かった。
sm「…っ、!」
俺の声で上を向いたものの、間に合わず、
手を伸ばしても間に合わず、
彼の足元が、
「スマイル!」
磨かれた革靴にまとわりつく
「っくそ……っ、!」
円形にくり抜かれた地面
それは、
深海への入口
敵「逃げろ!」
味方「走れ!」
他の奴らが逃げていく中
俺だけが逆に走っていた。
sm「ッきりやん!」
「スマイルッ!」
彼の手が、伸びている
しかし、その勢いでマントが剥がれてしまった
敵「おい!いたぞ!」
敵「こいつなりすましやがってたのか!!」
「あと少し……ッ、、!!!」
そうして、指が触れた。
しかし、俺を狙う輩どもが俺を地の方へ引っ張り、俺はその力にわずかながら負け
無慈悲にも大きな荒波が彼を包み込み、俺はその波に弾かれるように。
スマイルの紫の瞳が、波越しに見えた。
大きな円は、彼を包みすぐ消えてしまった
「……スマイル…スマイル…… 」
俺の声は届くはずもなく
大勢の敵意が俺を囲む。
敵「やれー!!」
「ッお前らのせいだ!!」
俺に飛ぶ魔法弾は見事に腕を抉る。
とにかく、こんなヤツらの相手をしている暇は無い……
「…ックソッタレどもが…!」
……ここは、どこだろう…
かすった傷が痛い、
えぐられた頬が再び痛む、
ようやく会えたのに、また俺が飛ばされる始末
こんなの、望んでない
「ッ…がふ…ッ、… 」
『スマイル〜!』
『スマイルもこっち来いよ!ここから見るとめっちゃ綺麗だよ!』
『スマイル……大丈夫?泣いてるの?』
『俺お前のこと好きだよ!』
『……ん?どうゆうことって…ずっと一緒に遊べたらいいな!』
嗚呼、懐かしい。
俺はあの時、君よりも考え方がおかしくてさ
別の方向に考えちゃって……
手を繋いで、頬っぺにキスして……
幸せだったな、
そんな恋物語も水に沈んでいく。
深く、深く落ちていき、やがては底に着く。
透明な血も、分からない。
何を、どうすべきだったのか分からない。
俺は、……おれは……
きりやん、
お前に憧れてたんだな、
段々と苦しくなっていく。
呼吸ができない今
魔法も使えない今
ただ、身を預けるしかない
うっすらと太陽が見える
波模様を照らすその光が
海を貫くほどなんて素晴らしい。
もうすぐだ、もう…すぐ…
楽になれる
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呪文参考:「『迷いの森の館からの脱出』に挑戦!【ネタバレ有り】」