コメント
4件
えー、ほほたちゃんの実写みたいかも!
青side
何をするにも無口な君。
僕は見たことも聞いたこともない、君の口から零れたその声を。
君の、黄くんの存在に気づいたのは、クラスが同じになってから。
何度話しかけても、
「クラス一緒になったの初めてだよね!」
「昼飯あっちで食おーよ」
「移動教室一緒行こー」
返ってくるのは穏やかな愛想笑いだけ。
「………」
そんな黄くんに腹を立てながらも、心の奥が吸い寄せられていった。
僕は君と対照的によく喋る。
ぺちゃくちゃと喋る僕をニコニコと吸収していく黄くんが、どこか…
怖くて、不気味な気がした。
時はあっという間に過ぎていった。
黄くんと初々しかった頃は流れ、外には紅葉が舞っている。
それでも、僕はまだ黄くんの声を聞いたことがない。
ジェスチャーや笑い合うだけの日々や、あの頃と変わらず一方的に僕が喋り掛ける時。
どんどんと君に惹かれていく感覚がする。
ニコニコと笑っているだけの君の表情が、少し変わった時。
トクン
トクン、
胸が高鳴る。
そんな僕が、君に想いを告げたのは雪が降り始める冬の休期前。
「好きです、僕でよければ付き合って欲しい」
君の指が丸を示した時、零れ落ちた涙と君の心配そうな表情は生涯頭に閉まっておきたい。
そして、今。
まだ少し寒い部屋の中で。
僕達は初めてを迎える
黄 「ッ…」
緊張や、初めての行為に不安を抱いているその表情。
初めて見るものだ。
寒さが溶け、温まっていく僕達。
必死に口を抑え、1年間も閉まっていた声をここで出すまいと眉間にシワを寄せている。
それでも、指の隙間から漏れる吐息を僕はきっちり零さない。
もうすぐ、雪が降る。
君の雪。
ぷるぷると震える身体についた小さな唇。
その唇から僕の名前が発せられた時。
黄 「青くッ、/ / 」
燃えるように身体が熱くなり、目が君しか捕えなくなる。
僕は飛び散った雪を身体にまとい、君のやっと使われた口に唇を落とした。
初の行為に、初の表情、
そして初の声。
様々な初を迎えた僕らは少し大人に慣れたかな。
END