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_ただ、あいしてほしかっただけ。
ザー…ザー…
「ひっく…っおかぁさまぁ…おとぉさまぁ…っ!」
薄暗い森の中、泣き叫ぶ少女の声が響く。
「ぐすっ…こわいよ…さむいよぉ…」
さて、彼女がこの森をさまよい続けて、何時間が経過しただろうか。
先程から降り始めた雨は止む気配を見せず、ただただその小さい体を蝕んでいた。
「どうして?どうして…?りりあ…りりあはちゃんといい子にしてたのに…こうじょのおしごと、がんばってたのに…」
雨水でドロドロになった地に座り込み、ぽつぽつと空虚に問いかける。
あぁ、可哀想に。この「リリア」という少女は、両親である国王と王妃に捨てられてしまったのだ。
“一国の皇女”という、重大な役割を背負っていながら…
「_ぐすっ…えぐ…ひっく…うぁ…」
何時間も彷徨い、泣いて、疲れてしまったのだろう。
その幼い皇女は、ただ嗚咽をもらすことしかできなくなった。
…ザァー…ザァー…ザァー…ザァー…
そんな彼女をさらに追い詰めるかのように、降り続ける雨はさらに勢いを増してゆく。
彼女の声と涙さえも、かき消してしまうほどに_