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ひゅぅッ、と風が悪戯げに吹く。


「 ぅおッ 」


思わずバランスが崩れる。


まるで、「此方においで」と言う様に、星と月が煌めく。


覚悟なら決めて来た。迷う要素は何処にも無い。


唯少し、もう少しだけ、


此の空を眺めて居たかった。


「 …俺も、あの星みたいに、自由に輝けっかな 」


好きな様に輝いて、煌めいているあの星の様に。




































夜。其れは皆が眠りに着く時間。


夜。其れは俺が唯一自由な時間。


夜。其れはお星様を見れる時間。


夜。其れは静寂に包まれた時間。


夜。其れは何も気付かれない時間。


そう、夜は自由だ。


寝ても良い。遊んでも良い。星を見ても良い。


静寂に身を任せても良い。気付かれなければ何しても良い。


そう、気付かれなければ、ね。


「 なぁ、明日は何をしようか 」


「 また書類か?やる気が出ないな 」


「 甘味を食わせろよ 」


「 …星よ。其処で待っていろ。 」


「 俺も、もうじき仲間になるさ 」


例えば、独りでにお星様に成ろうとしても、


誰も邪魔しない。


例えば、独りで静寂の中消えてゆこうとも、


誰も邪魔しない。


そう、邪魔なんてされないのだ。


泡沫の様に彼は暗闇に落ちていった。


もう戻る事は無いのだろう。


否、戻る事を彼が選ばない。


彼等は如何思うだろう。


朝起きたら、道標が無い事に。


偉大なる存在が消えている事に。




































彼が居なかった。


探して、探して、探しても。


何処にも居ない。


そして、見つけた。


血に塗れて、未だほんのり暖かくて、そして笑顔な彼を。


誰も気付かなかったのだから、きっと夜だろう。


彼は幸せだっただろうか。


立場に縛られて、肩身の狭い生活だったのでは無いか。


医者の彼奴が、


「 最善を尽くした。命だけは取り留めたよ 」


と言った。だが、命だけ。


彼は植物状態に成ってしまった。


毎日話しかけた。


周りには、沢山の仲間から送られた、


沢山の花が添えられていた。


彼は、まるで泡沫の様に、


淡く、儚く、消えてしまった。




































万死に一生を得るとは、必死の覚悟を決める事。


また、ほとんど死を避けがたい危険な瀬戸際で、


かろうして助かること。

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コメント

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最後の説明、「かろうして」ではなく「辛うじて」です。すみません

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