コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
校舎は、とても広くて清潔だった。日の射す連絡通路を渡り階段を降りると、そこは体育館だった。吹奏楽部が勇ましいマーチを演奏している。出席番号順に整列させられた私たちは、順にパイプ椅子に座っていく。
全員が整列した。教頭のアナウンスから始まり、入学許可、国歌斉唱、校歌披露、新入生代表の言葉があった。緊張していた私たちは、その時間を長くも短くも感じていた。教室に帰ったら書類の提出などがあり、自宅へ返された。初日の授業を、入学式中からずっと首を長くして待っていた。
初めの週は授業というよりも学級活動がメインで、係や委員会、部活動決定がメインだった。私は連絡係でボランティア委員会だ。部活動に関しては定員があるのでもう少し計算に時間がかかる、ということで知らされなかった。
数日経ち結果発表だ。出席番号と部活動が並べられた表の前には、嬉しさと悲しさの不思議なマーブル模様があった。
「おれ、野球部がよかった」
「やった、吹奏楽部よ」
「私も同じ」
慎重に自分の出席番号までたどる。私は10番だから、ちょうど真ん中だ。
「やった、製菓部だ!」
同じく製菓部を希望していた望美はどうだろうかという配慮は一切せずに言った。
「ごめんね、私天文部だった」
「え……?」
「第二希望天文部だったの。定員オーバーだったのかな」
昨年度製菓部が何人だったかは知らないが、自分のクラスで最終的に製菓部に入ることになったのは私だけだ。他クラスの人がたくさん応募していたのだろうか。
「いやいや、望美の入りたい部活に入れればそれでいいよ」
表向きにはそう言った。
「ありがとう!」
「うん、だって私たちお互い仲良いそれぞれの人生の主人公でしょ。主人公は好きに物語を変えられるんだよ」
「うん」
でも、学校もクラスも同じで喜んでいたから正直寂しいところだ。でも、私のことは私が解決するんだ。