「架空のボカロ作ってニコ厨つろうぜw」
こんな一言だけで生まれてしまった。 ボーカロイドではない、「偽物の」誰か。 みんなに今でも愛され続けている、彼女。 彼女の紡ぐ歌はたくさんの誰かを魅了する。 彼女が奏でる音楽は世界中の人を虜にした。彼女の声は、たくさんの人を惹きつける。 そんな彼女は、「にせもの」だった。 しかし、彼女は幸せだった。 誰かに認められ、 誰かに推してもらい、 誰かは彼女と幸せな日々を送っている。
「にせものでも、愛してもらえた。」
彼女は泣いた。
愛してもらえないと思っていたから。 にせものでも、誰かが褒めてくれた。 それが彼女にとっての、「幸せ」なのだった。そんなとき、彼女に一通の手紙が届く。 その内容はこのようなものだった。
「こんにちは、お嬢さん。突然驚かせてすまない。そろそろ本題に移ろうと思う。 この度、プロジェクトセカイに正式に入ってくれないか?」
彼女は歓喜にあふれた。 憧れの人たちにスカウトされるなんて、 夢にも思っていなかったから。 彼女は楽しみだった。 「もっとたくさんの人に知ってもらえる。」 「たくさんの人に私の声を届けられる。」 「たくさんの人に、私の歌を聞いてもらえる」 彼女は楽しみだった。 楽しみ「だった」。 本当に、楽しみだったから… 彼女は、絶望の底に突き落とされることになってしまう。
「こんなの、こんなのってないよ…」
彼女が、思っていた「理想」とは、 全く違う「現実」が待っていた。
「嘘で作られた偽物め。気持ち悪い。」
「来ないで。こっちまで偽物って言われる。」
「なんでここにきたの?「偽物」がさ。」
「結局はヲタクどもに作られたきもちわるい偽物ってことでしょ?違う?」
「「「「結局は気持ち悪い「偽物」だね。」」」」
「やめて、やめて!そんな事いわないで!」
「偽物でいいから…もう、許して……!」
「ねぇ、おねがい……!」
「許してよ…」
愛されていた存在、「重音テト」。 そんな彼女は今、哀しい哀しい物語の中に、 閉じ込められています。
誰かに罵詈雑言を吐かれ、
誰かに存在を否定され、
誰にも愛してもらえなくなった。
そんな彼女は、一体どうやって生きていけばいいのでしょうか。
「ねぇ、見てるんでしょ?」
「助けてよ……………………」
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