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私の主人はナニにでも愛されてしまう。
例えば人外とか、怪物とか、怪異とか…
そんな変なものにまで愛されてしまう主人は、何故か自分にかなりの自信がないようで常時自殺願望を抱いているようなのです。
彼が暗い顔をし始めたのは生まれてから数刻後の事。
母親が死んでしまった時のこと__
生まれてすぐ大泣きするのが赤ん坊の本望なのだろうが、彼はその声を一瞬発したのみ。今思えば、まだ臍の緒で繋がっていた母親の脈が冷めていくのを感じたのかもしれませんね。
子供の頃はまだ目に光がありました。
けれど、世間に彼を出し始めた頃から彼は”楽しい”という感情をどこかに捨ててしまったらしいです。
それからというもの、彼は遊ぶということをせず、ただただ庭に植え付けられた植物を、景観を楽しむだけのロボットと化してしまいました。
私は彼の意思のままに。
「”人間様”。御紅茶をお持ちしました。」
音を立てないよう注意し、ソーサーから順に紅茶の土台となるものを次々と用意していきます。
けれど彼は外を見たまま…なんともお美しい。
あ、言い忘れていましたが彼は臍の緒がまだ繋がっている時、母親を亡くしたせいからか白髪となってしまいました。
私はこの色がとてつもなく好きですが、彼はとても気にしていたようです。
”今”はもう、そんなことないかもですがね。
「”人間”様…失礼しますね。」
紅茶を注ぎ終えたカップをご主人様の口へと運ぼうとすれば、手の甲で弾かれ大きな音を立てカップが床に砕け散る。
咄嗟にご主人様を守る。
「大丈夫ですか?”人間”様…」
腕の中を覗くと、無表情のまま固まる彼がいた。
私は彼が生きているだけで、安心感、そして自身の仕事を見出せるのです。
「…余計なことはするな」
小さな口が動きます。
とてつもなく、可愛いあなたが。
「…はい♡」
こんな私を受け止めてくれるご主人様が、
ワタシはとても大好きです。
「今日の晩御飯はどうなさいますか?」
また話してくれなくなる彼。
そんなあなたも素敵です。
「少々お待ち下さい。」
先程割れてしまったカップをふわふわと浮かび上がらせ、そのままお庭へと鋭く飛ばします。
苦虫を潰したような顔をするご主人様の瞳を僭越ながら隠させていただき、そのまま赤く染まった庭に雨を降らせます。
「では私はこれで失礼します。」
僕はアナタの____