空閑遊真は死んだ。?
「遊真くん!」
「よーチカ、ただいま」
「ランク戦どうだった?」
「よーすけ先輩に6ー4で勝ったよ」
「ゆうまゆうま!これを見てくれ!!」
「おっ満点とはさすがヨータロー」
「とうぜんだ。もうすぐ3年生だからな!」
(…そうか、近界から玄界にきてもう3年も経つのか…)そう思いソファへ腰をかける。
(それにしても、みんな元気だな。)
(おれはすこし眠いかな。)
眠い?
ピキっ
「みんな飲み物どうする?」
「あたし紅茶。」
「わたしはココアで」
「遊真くんは何飲む?」
「…遊真くん?寝ちゃったのかな」
チラ
ガシャンッ コップの割れる音が鳴り響く。
○月✕日空閑遊真の計報が届いた。
泣いた。めちゃくちゃに泣いた。ずっとずっと泣き続けて、結局目をはらしたまま葬式に参加した。
みんな目を赤くしたり涙を拭ったりして彼の早すぎる死を惜しんだ。
ずっとしまったままの棺は、彼の身長よりもずっとずっと大きく、どこか受け止めきれなかった現実をようやく消化できたようなきがきた。
ただ、1つ気がかりな点があった。
玉狛支部の人間が誰も泣いていない。
彼の死を受け入れられないのか、はたまた別の理由があるのか?
彼らの姿と見覚えのない遺影の笑顔が違和感となって、酷く心にこべりついたのだ。
ガヤガヤ
(なんだ、騒がしいな?)
「あっ鋼さんっ!」
「この人すごいんですよ!」
「はじめまして▓▓▓▓です」
「すごいんだよ!▓▓さん先週B級に上がったばっかなのに2本もとられちゃってさ」
「じゃあ、俺と1戦やってくれないか?」
「もちろん。でも…」
「ランク戦じゃなくて模擬戦にしてもらえますか?」
「…?いいけど…」
なんだ彼は
メイントリガーは孤月
サブにアステロイド、非常に基本と則っている攻撃手
なのに
俺の記憶が
俺のSEが
彼を空閑遊真と断定し頭から離れない。
「…お前は、空閑遊真か?」
「ちがうよ。おれは」
「最上有吾だ。」
空閑遊真は死んだのか?
答えはYESであり、そしてNOでもある。
しかし、
あの日確かに「空閑遊真」は死んだ。
それでは、答え合わせをしよう。
…
ぴっぴっと、心電図の音が頭に響く。
「おはよう、空閑」
「倒れて2ヶ月くらい昏睡状態だったんだ。」
上手く声が出せない
「体、痛いだろ。」
ちゃんと顔を見たいのに、視界は半分しかなくて
すでに動かしたい腕は消えていた。
「…ごめん」
「ごめんオサム…」
「声、低くなったな…」
「いいんだ、生きてるだけで。」
その後、空閑遊真は死亡したとボーダー内に知れ渡り、当人は「最上有吾」と名乗り再び入隊した。
今回の事件の発端は空閑遊真のトリオン体の消失によるものである。
それ以降空閑遊真は、玉狛所属のオペレーターによって作られたトリオン体をつかいすごしている。
ピピピピピピ
アラームが鳴り響く。こんな風に起きたのは初めてかもしれない。
ピッ
(…ねむい)
ガチャ
「おっおはよう」
「おはよう有吾くん」
「おはよう有吾」
「…おはようっ」
空閑遊真は死んだ。
おわり
もしかしたら消すかもしれません。
読んでくれてありがとうございます。
コメント
1件
遊真の黒トリ、トリオン体をつくるのがメインなのに戦うこともできちゃう、しかも強いのすごいですね💪