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**♬ねえ、こっちを向いてよ**
**♬私だけを見つめてよ**
**♬ねえ、好きって言ってよ**
**♬ほんの少しでいいから**
イヤホンから流れる新しいラブソング。
胸の奥がキュッと締めつけられる。
「会えるのは、嬉しいけど……」
スマホの画面には、たった一言。
**『今から行ける』**
これって、喜んでいいの?
それとも、ただの「ついで」なの?
待ち合わせの場所は、駅前のカフェ。
私は、ひとりで先に席について、蓮を待っていた。
コーヒーのカップを両手で包みながら、ガラス越しに外を眺める。
(蓮、ちゃんと来るよね?)
そんな不安が頭をよぎる。
しばらくすると、扉のベルが鳴った。
「待った?」
振り向くと、そこにはいつもの蓮。
少し眠そうな目をして、私の向かいに座る。
「ううん、今来たとこ」
そんな嘘をつくのは、もう慣れてしまった。
蓮はスマホをテーブルに置いて、メニューを開く。
その指が止まる。
「……甘いの飲むの?」
「うん。こういうの好きだから」
「ふーん、意外」
蓮はブラックのコーヒーを注文した。
なんとなく、この距離感が寂しい。
(どうして私は、蓮のことをこんなに考えてるのに、蓮はそんな風に見えないんだろう?)
しばらく、たわいない会話が続いた。
けれど、私はずっと考えていた。
言いたいこと、言わなきゃいけないこと。
「ねえ、蓮」
「ん?」
蓮はコーヒーを飲みながら、私を見る。
「……最近、冷たくない?」
一瞬、蓮の表情が止まった。
「別に、そんなことないけど?」
「でも、前よりLINEの返事も遅いし……。既読はつくけど、未読も多いし……」
勇気を振り絞って、言葉を続ける。
「私のこと、ちゃんと好き?」
蓮は少し考えるように視線を落とした。
「……好きだよ」
「なら、なんで……?」
「考えすぎなんじゃない?」
その言葉に、胸がギュッとなる。
(考えすぎ?私が悪いの?)
「だって、蓮は私に全然……」
「絢音」
蓮が、私の手をそっと握った。
びっくりして、顔が熱くなる。
「俺、そんなつもりないから。ちゃんと好きだよ」
その言葉に、少しだけ安心する。
でも、まだ不安は消えなくて――。
**♬「好き」って言葉だけじゃ足りないの**
**♬もっとちゃんと、私を見てよ**
**♬ねえ、ぎゅってしてくれる*
**♬言葉じゃなくて、伝えてよ**
イヤホンから流れる歌が、今の私の気持ちを代弁していた。