船内は静まり返った。
血の臭いが漂う中、葵は退屈そうに双剣を回した。
「さて、次はどっち?」
葵の視線が、主と詩音を行き来する。
その瞬間、主の喉がゴクリと鳴った。
詩音はニヤリと笑う。
「おいおい、バルドがこのザマかよ。」
「思ったより、やるじゃん?」
葵がクスクスと笑う。
「でしょ?でもねぇ、詩音ちゃん。」
「幻の世界に住んでるって言う割に……」
バッ!
葵の周囲に、”何か”が渦巻く。
無数の亡霊たちが、苦しげにうごめきながら詩音を取り囲む。
「これ、どう?」
詩音は眉をひそめた。
次の瞬間――
「……っ!」
彼女の体が一瞬、硬直した。
そこにいるのは、”知っている顔”。
ぼろぼろの服を着た少年、血だらけの顔の少女、朽ち果てた老人……
詩音が過去に”やっちまった”奴ら。
その亡霊たちが、恨めしそうに詩音を見つめていた。
葵が楽しげに微笑む。
「あんたがブチ殺した人間、全員連れてきたよ。」
「今なら謝れるよ?」
詩音は舌打ちした。
「チッ……」
だが、その顔には恐怖はない。
代わりに、彼女は懐から小瓶を取り出した。
――白い粉が入った小瓶。
「悪いな、私は普段から幻が住処なんだよ。」
ゴクリ。
詩音は粉を一気に飲み込んだ。
直後――
「っはああああああああああ!!!」
全身がビリビリと震え、目がカッと見開かれる。
口元が、異様に吊り上がった。
「……へへっ、なんだこれ?オモチャか?」
亡霊たちを指さし、ケタケタと笑う詩音。
葵が少し眉をひそめた。
「ふーん……やっぱり効かないかぁ。」
詩音が指を鳴らす。
「さぁて、”楽しい殺し合い”の時間だ。」
銃を抜き、ナイフを構える詩音。
対する葵は、亡霊を操りながら双剣を構える。
そして、二人の間に立つ主。
彼女は震えながらも、手には”巨大な筆”を握っていた。
――三つ巴の戦いが、今始まる。
コメント
6件
詩音ちゃんがまた新しい薬やっちゃったぁぁぁぁ…((葵ちゃん相変わらず可愛い!((主も頑張れ…!💪続きも楽しみです!
今回も神ってましたぁぁぁ!!! すげええぇ、、、誌音たんそれ四次元ポケット?(((は? とりま、ねぇ、、、誰も欠けずに戦いが中断されることを祈るよ(?) てなわけでトリトドン(訳:貴方は神に相応しい) 次回もめっっっっさ楽しみいいいいいいいいぃ!!!!!
うちの子まだかな……()