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気持ち悪い
吐き気がする
だるい、歩けない
つらい、くるしい、
────────────”たすけて”
あの声が届いていたら、また違った人生を歩めていたのかな。
俺の人生は、ずっとずっと曇りだった。
いや、曇りのち……血の雨。
殴られて殴られて、殴られ続けた。
たまに人が変わって、蹴られたり。鉄パイプで思いっ切り……………とかもあった。
服を焼いてくる人もいた。その度、火傷痕が広がっていった。
助けてくれる人は、いなかった。
雨牙大父「ふざけんなッ、………お前さえ、いなければ────ッッ!!!」
小学5年の夏。
殴られる。蹴られる。掴まれる。でも痛くない。それの繰り返しだった。
痛みなんて、感じなくなっちゃったけど…、笑
ある日、俺は家を出た。
耐えられなくなったんだっけ。よく覚えていないけれど、悲しくはなかった。
未羽「ねーねー、何してるの、?」
そこで出会ったのが未羽だった。
どこか見たことあるな、とは思っていた。けど、そんなのどうでもいいくらいに、
未羽「えへへっ、竣くんおもしろーい!」
可愛くて、どうしようもなく純粋で、世界を知って汚れて欲しくない、と。心から思った。
───けど、それは叶わなかった。
未羽「ねぇ”竣”、あの時さ………、」
未羽「どうやったら君を、救えてたかなぁ」
この世界に染まってしまった未羽を、俺は連れ戻すことが出来ない。
多分、誰でも無理だ。
これからどんなに愛する人が出来たとしても、それが俺じゃなくても、戻ることは許されない。
未羽は、そうやって自分を追い込んでいるから。
竣「ごめん、…未羽」
未羽「……………竣、」
ある日、未羽は……車に轢かれそうになった。
────キキーッ!!!そんな音が、曇り空いっぱいに響いた。
耳から離れないあの音。
あの音。
あの音。
あの音。
あの音。
あの音。
あの音。
あの音。
あの音。
あの音。
あの音。
あの音、
きもちわるい
いやだ
いかないで
たすけて
あのおとが
きらい
なんで
あの音。
あの音、
きらい
だいきらい
たすけて
あの音が響く。
体中が痛い。
何故か俺が倒れてて、頭がガンガンして痛くて、未羽は無傷で。
良かったって思った。言えた。
竣「未羽、無事、で………よか、ったぁ、」
か細い声しか出なかった。
未羽の目に涙が溜まった。いやだ
なかないで、
未羽「…………………ごめん、ごめんね…」
俺の手を握ってそう謝り続ける未羽。
違うよ、未羽。そうじゃない
俺が欲しいのは謝罪じゃないから
だから______
ポツ、ポツ…………と水滴が落ちてくる。
次第にそれは多くなり、音はザーザーに変わる。
竣「雨、降っ、て…きた…………ね、」
なんの意味も込めずに言ったはずなのに。
ただ、雨が降ってきただけなのに。
未羽「雨音、ッ響いてるね…………」
なんでそんな辛そうな顔するの。
もう、俺は、未羽に何も言えなかった。
それから俺は、声を失った。……………いや、”失ったことにした”。
俺の声は、あの日を思い出させる声なんだ。
声を出す権利なんてない。
未羽が声を__俺の声を聞いて、なにか思い出してしまった時が、俺の【最期】だと思うから。
ごめん、未羽。
2年後、俺は家に帰ることにした。
帰ると言っても、一時的に。
竣「父、さんッ…………ただ、いま、……」
家のドアを開けると、父さんがいた。
壁に寄りかかっていた。顔は見えなかった。
「ただいま」と声をかけても、返答はなかった。確かに声は小さかったが、さすがに聞こえる音量のはず。それに、普通ならドアを開ける音で気づく。
だからだ。何か引っかかった。
恐る恐る父さんの顔を覗くと、真っ白だった。
目は開いたままだった。つめたかった。
父さんは、死んでいた。
竣「………………………」
何とも思わなかった、というのは嘘だが、悲しくはなかった。
父さんに自分の着ていた上着をかけ、リビングへ向かうと、大量の薬が散乱していた。
父さんは、オーバードーズで死んだ。
俺は父さんに少し手を合わせてから、痕跡を残さず家を出た。
少し、気になることがあった。
初めて未羽に会った時、何故見覚えがあったのか。
気になって気になって。
ついに行動に移した。
それは、血液検査。DNA鑑定。
俺の血と、未羽の爪。昨日の夜未羽が爪を切ってくれていたおかげだ。
『雨牙大さん、結果が出ました』
竣「……………結果、は…?」
いつもより小さめで。だが聞こえるくらいで。
『雨牙大さんと天宮さん………DNAが99%一致。異母兄妹ということが判明しました』
竣「ッえ……………、?」
それから、未羽と顔を合わせられなくなった。
『明日会わない?』と連絡が来ても、『明日は予定あるからごめん』と返した。予定なんてなんにもないのに。
なんでだろ
好きなのに、
to be continued