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3 - 「 雨牙大 竣 」

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2025年03月21日

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気持ち悪い

吐き気がする

だるい、歩けない

つらい、くるしい、

────────────”たすけて”



あの声が届いていたら、また違った人生を歩めていたのかな。







俺の人生は、ずっとずっと曇りだった。

いや、曇りのち……血の雨。

殴られて殴られて、殴られ続けた。

たまに人が変わって、蹴られたり。鉄パイプで思いっ切り……………とかもあった。

服を焼いてくる人もいた。その度、火傷痕が広がっていった。

助けてくれる人は、いなかった。





雨牙大父「ふざけんなッ、………お前さえ、いなければ────ッッ!!!」

小学5年の夏。

殴られる。蹴られる。掴まれる。でも痛くない。それの繰り返しだった。

痛みなんて、感じなくなっちゃったけど…、笑




ある日、俺は家を出た。

耐えられなくなったんだっけ。よく覚えていないけれど、悲しくはなかった。

未羽「ねーねー、何してるの、?」

そこで出会ったのが未羽だった。

どこか見たことあるな、とは思っていた。けど、そんなのどうでもいいくらいに、

未羽「えへへっ、竣くんおもしろーい!」

可愛くて、どうしようもなく純粋で、世界を知って汚れて欲しくない、と。心から思った。

───けど、それは叶わなかった。





未羽「ねぇ”竣”、あの時さ………、」




























未羽「どうやったら君を、救えてたかなぁ」



























この世界に染まってしまった未羽を、俺は連れ戻すことが出来ない。

多分、誰でも無理だ。

これからどんなに愛する人が出来たとしても、それが俺じゃなくても、戻ることは許されない。

未羽は、そうやって自分を追い込んでいるから。


竣「ごめん、…未羽」

未羽「……………竣、」




























ある日、未羽は……車に轢かれそうになった。






────キキーッ!!!そんな音が、曇り空いっぱいに響いた。


耳から離れないあの音。


あの音。


あの音。


あの音。


あの音。


あの音。


あの音。


あの音。


あの音。


あの音。


あの音。


あの音、


きもちわるい




いやだ


いかないで



たすけて



あのおとが



きらい


なんで




あの音。





あの音、





きらい


だいきらい




たすけて




あの音が響く。




体中が痛い。

何故か俺が倒れてて、頭がガンガンして痛くて、未羽は無傷で。

良かったって思った。言えた。


竣「未羽、無事、で………よか、ったぁ、」


か細い声しか出なかった。

未羽の目に涙が溜まった。いやだ

なかないで、


未羽「…………………ごめん、ごめんね…」


俺の手を握ってそう謝り続ける未羽。

違うよ、未羽。そうじゃない

俺が欲しいのは謝罪じゃないから

だから______


















ポツ、ポツ…………と水滴が落ちてくる。

次第にそれは多くなり、音はザーザーに変わる。


竣「雨、降っ、て…きた…………ね、」


なんの意味も込めずに言ったはずなのに。

ただ、雨が降ってきただけなのに。


未羽「雨音、ッ響いてるね…………」


なんでそんな辛そうな顔するの。

もう、俺は、未羽に何も言えなかった。







それから俺は、声を失った。……………いや、”失ったことにした”。

俺の声は、あの日を思い出させる声なんだ。

声を出す権利なんてない。

未羽が声を__俺の声を聞いて、なにか思い出してしまった時が、俺の【最期】だと思うから。

ごめん、未羽。










2年後、俺は家に帰ることにした。

帰ると言っても、一時的に。


竣「父、さんッ…………ただ、いま、……」


家のドアを開けると、父さんがいた。

壁に寄りかかっていた。顔は見えなかった。

「ただいま」と声をかけても、返答はなかった。確かに声は小さかったが、さすがに聞こえる音量のはず。それに、普通ならドアを開ける音で気づく。

だからだ。何か引っかかった。

恐る恐る父さんの顔を覗くと、真っ白だった。

目は開いたままだった。つめたかった。

父さんは、死んでいた。


竣「………………………」


何とも思わなかった、というのは嘘だが、悲しくはなかった。

父さんに自分の着ていた上着をかけ、リビングへ向かうと、大量の薬が散乱していた。

父さんは、オーバードーズで死んだ。

俺は父さんに少し手を合わせてから、痕跡を残さず家を出た。












少し、気になることがあった。

初めて未羽に会った時、何故見覚えがあったのか。

気になって気になって。

ついに行動に移した。

それは、血液検査。DNA鑑定。

俺の血と、未羽の爪。昨日の夜未羽が爪を切ってくれていたおかげだ。


『雨牙大さん、結果が出ました』

竣「……………結果、は…?」


いつもより小さめで。だが聞こえるくらいで。


『雨牙大さんと天宮さん………DNAが99%一致。異母兄妹ということが判明しました』

竣「ッえ……………、?」












それから、未羽と顔を合わせられなくなった。

『明日会わない?』と連絡が来ても、『明日は予定あるからごめん』と返した。予定なんてなんにもないのに。



なんでだろ






















好きなのに、












































to be continued

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