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「…ぅ゙、あったま痛ぁ゙」
目が覚めると同時に、ずきりと脈打つ痛みを感じる。
そこではた、と見知らぬ…否、自分の家のベッドではないことに気づく。
「え、うそ、」
まさかと思い布団を捲ればずり落ちた下着姿の自分と、隣の人肌が見えてしまった。
恐る恐る相手の顔にかかる薄い掛け布団をどければ、正直1番やめて欲しいと願った人物…
しろせんせーだった。
私は実はせんせーのことが好きだ。もちろん恋愛的に。
動画や配信でいつも私にちょっかいをかけてくる。冗談で好き、結婚しようと言ってくる。
ビジネスだって分かってるつもりだ。
しかし、自分の気持ちを誤魔化し続けるのもそろそろ限界のようで、最近はいつもキツイ言葉で返してしまう。
それでもせんせーの絡みは収まるどころかどんどん過激になっていってる気がする。
「そんなことより、まずい…記憶がなんにもない」
そう。
昨日の夜、せんせーの家で女研メンバーとお酒を飲んで…
気まずさや恥ずかしさでどんどんお酒が進み、そこから。
「っあ~だめだ!思い出せないっ!!」
「…ん゙ん、」
隣に人がいることを忘れ大声を出したせいで、目が覚めてしまったようだ。
えっと、どんな会話をすればいいの!!?
「せ、せんせーさぁ、昨日のことって覚えt」
「…っうわぁぁ!!!」
そう声をかけるなり、いきなり私と距離を置いてヴァージンを散らした乙女の如くシーツで自身の身体を覆い隠した。
「ち、近づくなこの獣ッ!!!」
「はぁぁぁ??!」
皆さん、とんでもない事が判明いたしました。助けて下さい。
というのも、話によればいつもの倍のペースで酒を煽った私は案の定でろんっでろんに潰れ、他の皆が帰る時刻になっても動くことが出来なかったそうだ。それなら、と申し出たせんせーを。
「…私が襲った???」
「だからそうだって言ってんじゃんかぁ」
取り敢えずお互いに服を着替えると、記憶の照らし合わせをしていた最中、とんでもない爆弾発言が落とされた。
「まっじで俺何回もきいたよ!?まちこちゃん処女なんでしょ?いいのって」
でもまちこがどーしてもってぐずり出すしさぁ。
それを聞いて体中から血の気が引くのが分かった。
否定しきれないからだ。
お酒を飲んで口が緩くなるのは事実だし、なんらかの状況でぽろっと言ってしまう可能性も0ではない。
「…まぁ、昨日まちこが言った通り、責任とる…でええんだっけ」
軽く首の後ろを抑えながらそう言うしろせんせーにまたもや目を剥く。
「え!?今度はなに言ったの私!!」
ほんっっとに最悪なことに、私は無理矢理しろせんせーに抱かせた挙げ句、処女を散らした責任も取れなどと抜かしたらしい。
「〜〜っ!ごめんっ!!謝って済むことじゃないと思うけど!!!」
そうベッドの上で土下座をする。
これじゃ完ッ全に頭のおかしい女でしかない。
「いや、俺も結局しちゃったわけだし…完全なるまちこだけのせいではないと思う」
そう言ってくれるしろせんせーに、これほど感謝した事はない。
「っせめて!1つ…!なんでも言う事聞いたげる!!それでチャラにして貰えない…?」
その言葉にしろせんせーはなにやら考え込み、「分かった」と続けた。
じゃあ、
「俺と付き合って」
「…はい?」
しかしそう言うしろせんせーの顔は真剣そのもので。
「やっぱ、他のオフパコした人とかとは事情が違うし…まちこが訴えれば俺絶対負けるだろうから、」
ごちゃごちゃと続けるせんせーも相当焦っているのだろうか。
「そ、そんな!良いんだよ別に!!訴えたりしないし!!」
「…、」
下を向いたせんせーがなにか言ったような気がした。
「え、なんだって? 」
「だからぁ!まちこのこと前からす、好きだったって言ったんだよ!」
目線をキョロキョロと動かしながら、早口で捲し立てる。
「だからまちこから誘ってくれたの、ほんとはすげぇ嬉しくて。でも、まちこが酔ってて覚えてないんならいっそのこと強引にでも付き合えないかなって、その…俺の方こそごめん。」
そう言って俯くしろせんせーに慌てて駆け寄る。
「わ、私も!せんせーが好きなのっ!その、話で聞いた通りせんせーを襲っちゃった?えっと、記憶はないんだけど、せんせーとそう言うことしたいって考えたりもして、それで…」
どんどん声が、小さくなっていく私にしろせんせーはそっと 「ありがと…嬉しい」と呟いた。
俯いたまま言った言葉は細かく震えていて、せんせーも怖かったんだなって、それと同時に安心した。
そんなせんせーが愛おしくて、私は正面からせんせーを抱きしめた。
背後で笑っているなんて気づきもせずに。
prrrrrrrr
「あ~もしもしボビー?今空いてる?」
夜も深くなって来た頃を見計らって、オレはボビーに電話した。
Discordだと他のメンバーが入ってくる可能性があるから、今日はLINEでの通話だ。
『おー、大丈夫よ。まちこはさっき帰したわ』
そう言う相棒の声がいつもより上機嫌なのは明らかで。
「じゃあくっついたんだ、お前ら」
『やっと、って感じだわほんとに』
「あーあ、まちこりのやつ可哀想に〜笑こんな奴に捕まるなんて」
オレがそう言うと、ボビーが言い返してくる。
『なぁに言ってんだよw俺に協力したくせにww』
そう、あの日。
皆で集まる数日前からボビーに相談…いや暴露された計画。
当然協力するやろ、なんて言うボビー。
その内容は、酒で酔わせたまちこりと既成事実()を作るという非常に馬鹿げたもので、面白半分でオレは誘いに乗った。
結果、本当にまちこりと付き合えたのだから驚きだ。
「で結局、まちこりにほんとに襲われたん?」
オレが言った言葉を鼻で笑うと、心底可笑しそうに話しだした。
『んは、まさか。ニキが他のメンバー上手く帰してくれたじゃん?あの後、完全にまちこは意識飛ばしてたわけよ。』
その計画でのオレの役割。
それがまちこりだけがボビーの家にいても不自然じゃないように、他のみんなを追い出すことだった。
「おん、それで?」
『取り敢えずベッド連れてくじゃん?で、どーしよっかってなったときに、迷ったわけよ。でもやっぱ初めては意識ある時にしたかったからさ』
「うーわ最っ低」
つまり…
「服脱がせて下着姿にした挙げ句、まちこりに襲われたって嘘ついて、処女散ったって騙したってこと?」
『んー、まぁ端折って言えば』
「怖っ!?え、それ怖すぎない???」
『あはは笑』
オレの言葉を聞いて、ボビーは楽しそうに笑う。
『最後の方なんて“俺とそーゆうことしたい”って言ってくれてさぁ、抱きついてんの。俺、こんな簡単に行く??って笑いそうになってさ。堪えんの大変だったわ 』
その声に甘さが含まれているのに気づいて、オレはげんなりする。
「はいはい、上手く言って良かったね。誰のお陰だと思ってんだよまったく…」
そう言ってオレは少しだけ、まちこりーたに同情する。
「あんま振り回し過ぎんじゃねーよ?一応アイツも大事な女研メンバーなんだからさ」
きっとまちこりが真実を知る日は来ないだろう。
ー終わりー