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新学期が始まって少し経ち、テニス部にも1年生が慣れてきた頃。
「ねぇ、くるみ。」
部活終わり、着替えながら璃子が急にニヤニヤして話しかけてきた。
「な、なに?」
「私、好きな人できたかも~。」
「え!?誰!?誰!?」
私は思わず璃子の肩を掴んでガタガタ揺さぶった。
「ちょ、くるみ!落ち着いて!」
「落ち着けるわけないでしょ!?」
璃子が恋をするなんて珍しい。これはもう全力で応援するしかない!!
「で?で?誰なの!?」
璃子は少し照れくさそうに笑いながら、小さな声で言った。
「……**西山先輩。**」
「えっっっっっっ!?」
衝撃のあまり、私は思わずロッカーに頭をぶつけた。
「痛っ…」
「ちょ、くるみ、大丈夫!?大げさすぎ!!」
「いやいやいや!!璃子、西山先輩って、あの西山先輩!?」
「そうだけど…?」
西山先輩――今年からテニス部の部長になった、広瀬先輩の同級生。
適当で飄々としてるけど、実力は確かで、周りからの信頼も厚い。
(いやでも…西山先輩って、女子に人気あるし、璃子と絡んでるとこ見たことない…)
「なんで急に!?」
「……最近、部活で話すことが増えてさ。」
璃子は少し頬を染めながら言う。
「最初はちょっとチャラそうだなって思ってたんだけど…意外とちゃんと部員のこと見てて、困ってるときさりげなく助けてくれるし…」
(え、そんな一面あったの!?)
「で、気づいたら、ちょっとドキドキしてて……」
「璃子……」
友達が本気で誰かを好きになってる顔、初めて見た。
(これは…全力で応援するしかない!!)
「よし!璃子の恋、全力でサポートする!!」
「えっ!?ちょ、ちょっと待って!?」
「何か作戦立てなきゃ!西山先輩と接点増やす方法考えなきゃ!!」
「えええぇぇ!?」
璃子は焦ってるけど、私はすでにスイッチが入っていた。
でも、この時はまだ知らなかった。
この恋が、思わぬ波乱を呼ぶことになるなんて――。