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母が死んだ。
母は数年前から乳がんを患っていた。
精神も体力も耐えられなくなったのか、母の灯火は静かで晴れた朝に、すっと消えた。
母の母親は、ずっと「この子は頑張ってたんですよ!なのに……。」と涙をこぼしながら、骨と皮だけが残った手を握り、私に訴えていた。
ああ、神様。
なぜ私を_。
母が亡くなって数日。
父は葬式の手続きの為、妹達は祖父母に一時預けられることになった。
私は祖父母の家に元々いたので、変わったことは母が死んだことと、妹達が家に来ること以外、何も変わらなかった。
私が思った以上に事は早く進み、母の葬式は3日後に開かれ、静かに幕を閉じた。
私は、涙も、感謝も、何も出なかった。
親不孝と言われるだろうが、そんなこと言われてもどうしようも無い事実がある。
いや、『あった』。
母が亡くなったのは春の陽気が顔を出しながらも、寒さがせめぎ合う2月下旬。
私は当時中学三年生で、すぐそこに受験が控えていた。
皆様がお察しの通り、私はあまり動揺しなかった。
だが、この世界から1つ、命が消えたという少しの虚しさが胸の中に漂った。