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短編集第2話 キャットラビング/香椎モイミ
- ̗̀⚠︎ ̖́-
・初期桜×蘇枋
・初期桜クズ
・DV描写あり
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バチン、ッ”“!!!
『ぃ”…ッ、』
思いっきり頬を叩かれた。頬がヒリヒリして、思わず座り込んでしまう。
「…俺、いつも青色の箱の煙草使ってるよな?なんで緑色の買ってくる訳?なぁ?」
チャイナ服の襟を捕まれて、蘇枋は同じところを1発、逆からまた1発…と何度も何度も頬を叩かれる。
『ぁ”…ぃ、あ”ッ、』
「お前はお使いも出来ねぇのか?本当に役立たずだな。」
『ッ…ひ、ぐッ”』
「泣いてねぇで謝れよ、ほら、早く。ごめんなさいは?」
色の違う両目で睨み付けられる。まずい。此の儘じゃ、捨てられる。
『ゃ、役ただずで…ッ、ごめ、ッ”…なさ、ぃッ”…』
「…」
『今から…”ッ、買ってくるから、だから…ッ、きらぃに、ならないで…ッ、”“!』
「…」
上から困ったような、満足したようなふっ、という微かな笑い声が聞こえる。
ぎゅ、
温もりを感じ、ふと前を向くと、桜に抱き締められたのだとわかった。
『…ッ、あ、』
「嫌いになんてならねぇよ。俺も少しやり過ぎた。ごめんな?」
優しい声色に戻り、そっと頭を撫でられた。
「煙草買ってくるついでに、お詫びのケーキでも買ってきてやるから、飲み物用意しとけよ?」
『!! …うん、わかった。いってらっしゃい。』
彼_桜君はもともと、歪んだ性格の持ち主だった。
何か気に入らないと、すぐに俺に手を出して、酷い時は火の点いた煙草を身体に押し付けた。
女遊びも酷く、俺が何回浮気現場を目撃した事か。
注意しても暴力でねじ伏せられるだけ。
そんな恋人の事を話すと、彼の性格を知っているにれ君や桐生君、他の友人は別れた方が良い、会いたいのは間違っていると言ってきた。
でも、出来ないんだ。
どんなに暴力を振るわれても、浮気されても、俺は彼が大好きだった。
暴君な彼でも、週に2回程度は優しくしてくれたり、デートもしてくれる。
そう、俺は彼に…依存していた。
数ヶ月後__
カチ、カチ、カチ…
静かな1人きりの部屋に時計の秒針が動く音が響き渡る。
俺はそわそわしながら彼の帰りを待っていた。
今日は、俺たちが付き合った半年記念日。
彼には言ってあったし、覚えていてくれている筈。
だから、今日はきっと、優しく撫でてくれる。
待たなきゃ。待たなきゃ__
ガチャ
『!!』
帰ってきた。俺の大好きな人。
『おかえり__』
彼はスマホ越しに誰かと話していた。誰だろう。
仕事の事かな__
「あぁ…、…来週、会えないって?…わかった、じゃあまた…」
どうやら通話が終わったみたいだ。
『桜くん、おかえ__』
どん”ッ!!
『ぁ…”ッ、??』
意味がわからない。今、何が…ぶたれた?
『ぇ、あ…さ、くらくッ”__』
ばち、ッ” どん、どご…ッ”“!!
『ぁ…”“ッ、かは、ッ”…、』
「ちッ…あのキャバ嬢の奴、ちょっと手上げただけで別れるとか…マジ、ムカつく、ッ!!」
どん”“ッッ___!!
『あ”が、ッ…ゃ、めて”ッ、』
ばこッ”、どん、どご”ッッ…!!!
『は、ッひゅ”…ッ、』
何回も殴られて、蹴られて…動けなくなった俺の首を彼は絞め上げた。
『ぐ…ッ、かひゅ、ぅ”ッ』
「なんで、なんで世の中のオンナはお前みてぇに俺の言う事聞かねぇんだよ、クソ、クソ…ッ”!!」
言う事を、聞く…ああ、そうか。君は、俺をそんな風に見ていたんだね。
暫く叫んだ後、ようやく落ち着いたのか、彼は俺の首を離した。
『ッ”…ごほ、ッ、げほ…ッ』
「…煙草買ってくる_って、おい、何だよ。」
俺が彼の足首に縋り付くと、彼は怪訝そうな顔をした。
首を絞められた時に微かに香った柑橘系の匂い。
それはきっと浮気相手の、とびきり可愛い女の子の香水の匂いなんだろうな。
その子も、前の浮気相手も…彼の暴力癖のせいで別れたのだろう。
それなら__彼のソレ(暴力)が耐えられるのは__
『生涯で、俺だけ、なんだよね……』