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「……え?」
ヴァルドは自分がメイドちゃん呼ばわりされていることに気づき、ゾワッとした。
牢の奥からガチャリと音がする。
低く響く声が牢獄に満ちる。
ヴァルドが目を向けると、一人の囚人が鉄格子の奥に座っていた。
黒いボサボサの髪、ギラついた金色の瞳、そして口元には不敵な笑み。
「……エゼル。」
囚人エゼルは足を組み、こちらをじっと見ていた。
「へぇ、 ‘メイド’ かと思ったら、ヴァルドじゃねぇか。ずいぶん可愛くなったな。」
「殺すぞ。」
「怖い怖い。」
エゼルは笑いながら鉄格子に手をかけた。
「で、何しに来た?」
リリスが前に出て、ヒソヒソと声を潜める。
「もちろん ‘助けに来た’ のよ。感謝しなさい。」
「感謝ねぇ……。」
エゼルは鼻で笑い、牢の奥を指さした。
「だったら ‘コイツ’ を何とかしてくれよ。」
ヴァルドとリリスが牢の中を覗き込むと、そこには 異様な気配 を放つ ‘何か’ がうずくまっていた。
青白い肌、異常に長い爪、そして何より―― ‘鋭い牙’。
「……おい、これ吸血鬼じゃねぇか!?」
ヴァルドの叫びに、エゼルはニヤリと笑った。
「こいつが 俺に次ぐ、新しい‘狂犬’ さ。」
すると、青白い吸血鬼がガタリと動いた。
「……血を、よこせ……。」
次の瞬間――
「グオオオオオオ!!」
牢獄に、凄まじい咆哮が響き渡った。
ヴァルドたちの ‘救出作戦’ は、開始早々 ‘最悪の事態’ を迎えることになったのだった――。