⚠️死ネタです!救いがないランドトです。もう最初から最後までバッドエンド。苦手な方はお戻りください!
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ドットが重い病気にかかっていると知ったのはつい数日前のことだった。余命あと 三ヶ月ほどらしい。付き合ってまだ一ヶ月しか経っていない俺たちには、あまりにも残酷すぎる話だと思った。
俺はほぼ八つ当たりのような感じで、ドットを責めてしまった。
「なんで、もっと早く言わなかったんだ!?」
でも、こんなことを言ってももう遅いらしかった。
「ごめん、ほんとごめんな。」
違う、そんな悲しい顔をさせたいわけじゃない。ドットは悲しそうな、困ったような顔で笑っていた。
「俺の弱いとこなんて見せたくなかったし、それにもう諦めてたんだ。」
いつもの暑苦しい、ドットらしくない穏やかで落ち着いている様子で、病気のことを話してくれた。それを聞くと、諦めるしかないのかもしれない、とも思ってしまった。
「病気だってわかったのはもう随分前で、そのときには言われてたんだ。18歳までは生きられないって。もう、しょうがないんだ。」
それを聞いた俺は、何も言えずただドットを抱きしめることしかできなかった。ドットは静かにすすり泣いていた。俺まで柄にもなく泣いてしまった。
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それから俺は、何とかならないかといろんな病院を回って行った。でも、どこも言うことは同じ。医者たちの言葉を聞いていくうちに、ほんとにあと三ヶ月後に死んでしまうかもしれない、もう会えなくなるかもしれない、という不安だけが募っていき、自分でもどうかと思うぐらい、気分が沈んでいくのがわかった。
「もういいよ、ランス」
そう言ったのはドットだった。
「もういいんだ。俺はあと三ヶ月、ずっとランスと一緒にいたい。俺のお願い聞いてくれよ、ランス」
そんなことを言われて断る奴がいるのだろうか。きっと、本当にそう思ったんだろう、心配していたと思う。鏡でよく見ると酷い隈だったから。
「あぁ、一緒に生きよう、ドット」
よかった、嬉しい、とでも言うようにドットは優しい笑顔で笑っていた。なんであと三ヶ月しかないのに、そんなに笑っていられるんだ、と思いそんな優しい笑顔を見せるあいつを俺は強く抱きしめた。泣き顔を見せたくなかったからだ。
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それからドットはしばらくの間、何も無いような、普段と変わらない様子でいつものように過ごしていた。
それが叶わなくなってきたのはあれから二ヶ月ぐらいだった。
「思ってたより進行が遅かったんだよな。ランスと一緒にいるからかな。」
と、ベットに寝転んだまま俺の方を向いて言った。そんなことを言わないでくれ。もっと生きていて欲しいと思ってしまう。
それからドットはベットで休んでいたり、寝ていたりする時間が多くなっていった。立つのもやっと、という時もありさすがにマッシュたちに気づかれ、みんなで話した際にはみんな号泣していた。
ときには吐血してしまう日もあり、ドットの吐血を見た際には気が動転してしまった。ドットの体調はどんどん悪くなっていった。
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あれから五ヶ月、ドットは余命よりも少し長く生きた。夜、いつものように部屋に帰った。いつもならもう寝ているはずだった。だが、その日はベットに座っており妙に元気に見えた。俺は驚きを隠せなかった。
「おう、おかえり〜」
「お前、どうしたんだ、体は平気なのか」
嫌な予感が走った。
「もう、わかってるだろ?」
からかうような笑顔を見せるドット。
あぁついにこの日が来てしまったんだな、とわかってしまった。
それから二人は久しぶりに紅茶を飲みながら、今までのことそして将来のことについてたくさんたくさん語った。二人が出会った日のこと、マッシュたちやアンナ、神覚者の人達についても話していた。こんなふうに長く話すのは久しぶりで、楽しかった。でも、これが最後なんだ、という現実がチラついた。
眠くなってきたような様子のドットはベットに座り込んだ。あとを追うように俺もドットの隣に座った。その途端、ドットはおもむろに俺の頬を暖かい両手で掴み、キスをした。
「ハハッ、隙あり〜」
と、言いながらドットはベットに力無く寝転び、目を瞑った。あぁ、もうすぐなんだな、とわかってしまい、でも泣いてさよならはしたくない、その一心で溢れそうな涙を必死に堪えた。
「ランス、おやすみ」
ドットはいつもと変わらない表情でそう言った。俺はドットの唇にそっとキスをし、
「あぁ、おやすみドット」
と、いつものように返事を返した。それが最後だった。ドットは微笑みながら眠るようにして、段々と呼吸の音が聞こえなくなっていった。
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