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「はあい、着きましたよ〜結衣さん」

「ここに降ろせばいいか?」

「あー、そっちのベッドでお願い」

「わかった」


と、ベッドに降ろされた。

とてもふかふかしていた。


「目隠し取りますねえ〜」


と視界が晴れた。


真っ白な部屋だった。


「お仕事は明日からで大丈夫だから、今日はここで休んでくださいねえ。窓はないし、ドアの向こう側には警備員を配置します。逃げようなんて思わないでくださいねえ」

「…はい」

未だに痛む腹部がもう一度ズキンと痛んだ。

長髪の男が、手当をしてくれたが

痛みは引かなかった。






気がつくと眠っていたようで

あっという間に朝がきた。



「おはようございます、結衣さん。とりあえず、ごはん食べましょうねえ」

「…おはようございます」



「琥珀、その女の飯はどこにある?」

「昨日陽太にお願いしといたから、陽太の部屋にあると思うなあ」

「取りにいってくる」

「陽太が持ってきてくれるって言ってたから大丈夫だよ」


と、ドアがノックされた。


「陽太です」

「お、ちょうどきたね」


入ってきた男は長髪の男と同じくらいの背丈で

金色の髪を短く切っていた。


「朝飯なんて、普段は作らないから難しかったですよ。とりあえず、軽めのやつにしときました」

おぼんにのっていたのは

たまご粥と、ブロッコリーのサラダ。


「ありがとう、陽太。昼飯も、作ってくれる?」

「もちろんです」



「じゃあ、陽太は帰っていいよ。椿はこの部屋に、華奈を呼んでほしいな」

「わかった」



と、2人の男が出て行った。


「結衣さんは、ごはんをたべようね。はい、あーん」

「え」

「え?ほら、食べてくださいよ」


ずい、ずい、と粥を乗せたスプーンを近づけてくる。


正直嫌であったが、断れる度胸もないので

大人しく食べた。


「ぁ」

「ん〜。えらいですねえ」


どんどんと口に入れていく。

かなり腹も満たされた。






「ごちそうさまでした」

「はい」




「そういえば、仕事って、何するんですか?肋がまだ痛くて」

「ああ、その説明をするために、今、華奈を呼んでます。華奈はここで2ヶ月、仕事をしてますからねえ」

「へえ」

「華奈はここを卒業して、男を接待する店に送る予定ですよ」

「え」

「当たり前じゃないですかあ。いつまでもここにはいさせませんよ。時期が来たら、送ります」

「華奈、さんはいくらの借金なんですか?」

「たしか、結衣さんと同じくらいです。ギャンブルに依存したせいで、でしたかねえ、たしか」


女性が借金を抱えるイメージはなかったため

華奈さんも男が原因かと思ったが

そうではないらしい。



と、ドアがノックされ

長髪の男と、髪の長い女性が入ってきた。



「椿、ありがとう」

「ああ」



「琥珀さま、お疲れさまです」

「おつかれ、華奈」

「そちらの女性が?」

「うん。結衣だよ。仕事、教えといてねえ」

「かしこまりました」


と、短髪の男と長髪の男は部屋を出て行った。



「え、と。華奈、さん?はじめまして」

「よろしく、結衣」


柔らかな笑顔に、少し安心する。


「はじめに言っておくけど、この部屋にはカメラがあるから、変なことは喋らないでね」


通りで、なにも言わずに部屋を出たのである。


「仕事内容の説明だったよね。仕事は簡単だよ。ここにいる男性方の世話だけ」

「それ、って」

「ああ、えっちはしないよ。あくまで家事とか、話し相手とか」

「そ、そうですか」

「私たちみたいな人があの方々のお相手なんてできないよ」

「は、はあ」


「まあ、今日の午後から仕事だから、その時教えるね」

「ありがとうございます」


そこで会話が終わって

すこし沈黙が続いたあと

扉が開き、短髪の男が入ってきた。


「じゃあ華奈は仕事始めててねえ。結衣さんは、もうちょっと説明したいことがあるので待っててくださいねえ」



華奈さんは部屋を出ていき、

男は部屋へとどまった。

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