こちらは「今夜限り」の大森さん視点となっております。
まだ未読の方は本編の方を拝読してから読むのをおすすめします。
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静かな空間にテレビの中の笑い声が無残に響く。
とりあえず付けただけのテレビにさほど興味を惹かれずスマホをいじる。
有名アーティストや高校生など、みんな液晶画面の中で意気揚々と生きている。
中には悪態をついている奴もいるが、そいつもこの空間に依存している。
現状に満足していない人達がこの世界には多いが、結局みんな不幸自慢したいだけ。
バカが多くて面白い。
そんなことを思いながらいつも通り液晶画面の上を指で滑らせる。
スラスラと流すように画面を見ていたが、ふと指が止まる。
興味を惹かれたのは、1件のツイートだった。
『今日の相手まじ最高だったわ。やっぱ男は締まりよくていい』
プロフィールを見てみるとタチ専の人のアカウントだった。
何を思ったのかは分からないがその人のフォロー欄をみる。
そして、ひとつのアカウントを見つけてプロフィールに飛んだ。
「えっろ、」
思わずそう声が出てしまうほど色気のある投稿ばかりだった。
普段、よほど鬱憤が溜まっていないかぎり抜かない僕でも、少し自分のモノが熱を持ち始めているのを感じるほど。
こんなに他人に魅力を感じたのは初めてで少し動揺している。
自己紹介欄をみるとネコ専の方のようだ。
DMしてみようかな、、
普段自分から声をかけたりすることがないので謎に緊張する。
でも文字を打つ指は不思議とすらすらと動く。
『今夜会えますか?』
引かれないように淡白に、かつ失礼過ぎない短めの文を送る。
そういえば焦りすぎて先走ってしまったが男同士のやり方とか全然知らない、、。
調べるか、
後ろの穴を使うこと、、ローション、前立腺、、一通り読んでみたがあまり分からない、。
まぁ、でも返事がいいものとは限らないし、
ピコン
通知が鳴る
DMの返事が来たみたいだ。
開いてみると返事はOK。
舞い上がっていたが、初心者だということを思い出し焦りだす。
まぁでも何とかなるかな、?
一応シャワー浴びてこ。
シャワーを浴び終わりラフな服装に着替える。
どうせ脱ぐんだしあまりそこは気にせずコーディネートする。
待ち合わせ場所に近づくにつれ鼓動が高まる。
あったこともない相手と今から一線をこえた事を致すという、不安な気持ちもあるが、
それ以上に、リアルで会ったらどれほど魅力的な方なのだろうという好奇心があった。
画面越しに見ただけでもあれだけ興奮したのにその人が目の前にいたら、
僕は理性を保っていられるのだろうか、
荒くなる呼吸を整えながら早めに歩を進める。
待ち合わせ場所付近に着いた。
辺りをキョロキョロしながら目当ての人を探す。
そして、一点で視線が止まる。
抑えていた興奮がまた口から溢れ出る。
深めに帽子をかぶっていて顔はよく見えないが、隠しきれていない色気が漂っているその人影に目を奪われる。
だめだ、
今声をかけたら変態って思われて相手にされなくなる。
必死に自分の気持ちを沈める。
そして、意を決して声をかける。
まるで今気づいたかのように平然を装って
「あ、若井さん!」
振り返った若井さんと目が合う。
ぎこちなく笑うその顔を見て、どくん、と心臓が大きな音をたてた。
あぁ、僕、この人と、
今夜限りの関係になれるかな、。
一旦ここで切ります。
本編の方で若井さんが気持ちよすぎて意識が飛んだお話も書く予定なので楽しみにしていただけると幸いです。
長くなりそう、
そして不穏になりそうな予感、、。
コメント
7件
大好きです。オトナな世界の夜のお話めちゃ好きです……言葉選びも本人たちの様子が浮かぶように丁寧に選別されてるのが分かります……🥹出会えて嬉しいです🥹
大森さん視点最高すぎる… 若井さんの魅力に惹かれまくってる大森さんの描写が天才的…!!色気漂ってるんですね… あーぴゅさんが書かれる不穏大好きすぎるのでもうワクワクがとまらないです!!!
めっちゃ最高です😭