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第5話 「一難去ってまた一難」
前回のあらすじ
宿で一休みしようとしていたところ、強姦されそうな一人の少女に…シャルル・マーレに出会った。
「……」
俺は今、美少女と混浴している。
シャルルを強姦野郎共から助けた後、逃げる時に着いてしまった汚れを落とす為に風呂を共にすることになってしまった。シャルルはまだシャワーを浴びている。頭を洗う際に露になる脇は、毛が1本も生えていない。なんなら脇だけではなくアソコの毛まで……
「なんか変っすか?」
いやらしい目で見ているのを察知されたのか、シャルルが聞いてきた。
「い…いや……可愛らしいなと思って、 」
「お世辞でも嬉しいっす。」
どうやら言われ慣れているらしい。そりゃそうだ。シャルルの容姿は、控えめに言っても天使である。あるはずのない天使の羽が、シャルルの背中に見えるほどに。こんな子がクラスにいたら、毎日のように靴箱はラブレターでいっぱいだろう。
体を洗い終わったのか、桶を置き、こちらへ向かってきた。つま先から体に温度を慣らすように湯船に浸かる。
「ふぅ……」
野郎に追われて疲れたんだろうな……
湯船に溶けそうになっているシャルルをじっと見つめた。
それにしても…こんな小さい女の子がなんで王都で1人に?冒険者が生まれ、集う街。ならシャルルも冒険者なのだろうか?冒険者なら、あんなに汚いローブを身にまとってまで身を隠す必要ないと思うのだが…
「シャルルは冒険者なの?」
奏は直接聞くことにした。自分で考えるよりも、本人に直接聞いた方が手っ取り早いと判断したのだ。
「そうっすね…私も一応冒険者っす。暗殺者の。」
「へぇ〜そうなんだ…暗殺者の…」
え?
思わず2度見してしまった。当然の反応である。今1つの湯船に一緒に浸かっている隣のこいつは、自分から暗殺者だとカミングアウトしたのだから。
「あ、暗殺者って…シャルルが?」
「そうっすよ?まぁ、暗殺者といっても駆け出しっすけどねw」
自分がとてつもなくヤバいことを言っていることに気づいていないのか、頬をポリポリ掻きながら子恥ずかしそうに笑っている。
サイコパスなのか?
駆け出し暗殺者なんかがいてたまるか。奏の心にあと少しでも余裕がなかったら、白っぽいお湯が黄色に汚染されるところだった。シャルルは青ざめた顔をした奏を見て不思議そうな表情を浮かべていた。
「カナデのジョブはなんなんすか?」
「ジョブ?仕事はコンビニアルバイトだけど……」
「こんびに?それが何かは知らないっすけど、勘違いしてるみたいですね…ジョブっていうのは、冒険者登録の時に設定される名称のようなものっす。聞いたことあるっしょ?剣士とか魔導師とか…あれがジョブっす。」
どうやら奏の考えは間違っていたらしい。この世界で言うジョブとは、ゲームでよく聞く仲間の役割をさすらしい。剣士ならアタッカー、魔導師ならサポーターといった感じで冒険者がパーティを組む時に重要視されるらしい。
「なるほど、だから”暗殺者”って聞いた瞬間急に顔が青ざめたんっすね。」
「暗殺者はどんなジョブなの?」
「暗殺者は、主に潜伏や奇襲を得意としたジョブっす。剣士のような大きい剣は使わずに、ダガーみたいな小さいナイフで戦うっす。」
The、暗殺者って感じだなぁ…
イメージ通りのジョブに少し懸念を抱きながらも、友達になれて良かったと心底思う奏であった。しばらくして 風呂をあがり、脱衣所で着替える奏とシャルル……着替えるといっても、今日着てた服をもう一度着直すだけだ。
「服も買わないとなぁ…」
「服を買うなら、ロマンジさんの店がおすすめっす。ちょっと変わった人っすけど、服は1級品なんで。」
「ふぅん…じゃあ明日一緒に行かない?お金なら出すしさ。」
「じゃ、お言葉に甘えて。」
まぁ…コミュ障すぎてまともな会話をできそうにないからだが、
自分ファーストな奏は、できる限りシャルルの機嫌を取るように話す。暗殺者なら、怒ってナイフを取り出しかねない…
「はぁ……やっと寝れる〜…」
使い古された布人形のように、ベッドに横たわる奏……時計は、短針長針共に12の位置を指している。かなりの時間がたっていたようだ。
「私のせいで大事に巻き込んじゃってすまなかつまたっす…そのうちお詫びはするっすね。」
「いいよいいよ…ふわぁ……もう寝ない?ほらこっち……」
スイカを丸呑みできそうなくらい大きくあくびをし、シャルルをベッドに手招きする。
「……まぁ、いいっす。」
そう言ってベッドに横になるシャルル。奏はシャルルと向かい合わせになって寝転んでいる。本当なら胸がドキドキする青春イベントのはずだが、睡魔との戦いに夢中になっている奏は、そんなことに気を配る余裕はなかった。
胸についた3つのボタンを止め忘れ、胸元が露出している奏に向かってただ一言……
「……えっちっすよ…カナデ…」
その言葉を聞き取る前に、奏は睡魔との戦いに敗北し、眠りに落ちてしまった……
第5話おしまい。今日は何とか2000字位にできました…まさかシャルルが暗殺者だなんて、奏はビックリしたでしょうねw美少女との混浴に添い寝だなんて、羨ましい限りです……
次回第6話、「危ない服屋さん」