百side
赫「俺っ、何もしてないっ…!(泣)」
しゃくりあげながら死を懇願してくる赫。
〝魔女〟のくせに。
…俺が言う権利はないか。
百「記憶無いの?(笑)」
無理やり、笑う。
笑わなきゃいけない。
赫「わかん゙ッなぃ っ(泣)」
泣いたって何も変わんないのに。
馬鹿らしい。
百「そっか(笑)」
後ろに立っている茈を見ると、怯えたような、怒っているようか、不思議な表情をしている。
百「教えてあげてよ、茈(笑顔)」
役がないのも可哀想だ。
説明係くらい譲ってやろう。
茈「百がしろよ。…俺疲れたから休憩。」
そう言ってそそくさと部屋から出ていってしまった。
百「好き嫌いして〝魔女〟が殺せないのもどうかと思うなぁ…(笑)」
茈は母親が〝魔女〟になっ たせいで、その場にいた父親も殺されたのだ。
…殺された、?
殺した、の間違いか。
百「でも、赫っちゃんの方がダメージ大きいだろうね~(笑)」
茈の時は母親だけで、茈本人には今のところ〝魔女〟らしき反応がないので、〝魔女〟の子供の研究データとして、手元に置いている。
…茈には得がないじゃないかって?
いつでも俺を殺せる場所にいるんだから幸せだろう。
それに、大嫌いな〝魔女〟を殺せるのだから、一石二鳥だ。
あの時、茈が死にたくない、という感情に、全ての決定権を任せてしまったのが一番の問題だと思うけれど。
茈side
〝魔女〟は恐ろしい。
いや、正確には、〝魔女因子〟が恐ろしい。
どんなに清らかな人でも、美しい人でも、優しい人でも、一瞬で憎まれる対象になってしまう。
俺の、母さんはッ…
母「茈、こっちにおいで(微笑)」
細いのに安心する、柔らかでふわふわした腕に誘われて、何も疑わずに母に着いていく。
簡単に言えばマザコンだ。
母「茈はいい子ね(笑顔)」
母は俺がちゃんと求めていることを返すことが出来たら頭を撫でながら褒めてくれた。
母「…でも、もう少しくらい、我儘言ってもいいのよ?(困笑)」
病弱な母に、忙しい父、自分の夢を見つけて努力している兄。
我儘を言っていい理由なんてどこにも無いのに、母は俺の事を想っていつも言ってくれていた。
茈「母さん、」
母「なぁに?」
茈「大好きっ…(照)」
母「お母さんも大好きよ(笑顔)」
家族のことはみんな大好きだったが、母はその中でも特別だった。
母「〝魔女〟…?」
父「最近、ここらで出歩いているようだから気をつけて。」
家族全員で食べる夜ご飯の時間。
父は〝魔女〟の話をしていた。
兄「〝魔女〟だかなんだか知らねぇけど馬鹿らしい。そんなのいねぇだろ」
夜ご飯の唐揚げを頬張りながら兄が言った。
確かに、俺も架空の存在だと思っている。
父「それがいるんだよ。恐ろしい〝魔女〟が、」
〝魔女〟にいつなるかは分からない。
〝魔女因子〟が発生する、〝何か〟が無くならない限り、〝魔女〟は居なくならない。
〝何か〟を探し出すために、〝魔女〟を殺すために、〝魔女討伐隊〟は活動をしている。
〝魔女〟には段階があり、〝卵〟の状態で〝魔女因子〟が植え付けられ、それが〝孵化〟することによって〝魔女〟になる。
〝魔女〟は無意識のうちに活動を行い、無差別に〝人間〟を襲う。
理由は分かっていないが、昔話の中で意味もなく〝人間〟に狩られていたことがきっかけなのでは無いか、と言われている。
殺し方は残虐で、見てもいられないらしい。
兄「なんか胸糞悪ぃ話だな…(食 止)」
父「〝魔女因子〟がどうやって移るのかとかは分からないが、知っているのと知らないとじゃ変わってくると思うから、少し気をつけておいてくれ。特にお前はな。」
そういって母の頭をかるくぽんぽん、と叩きながら立ち上がる父。
茈「母さん…」
兄「お前母さん好きすぎだろ(笑)」
茈「…なんか悪ぃ?」
兄「いや別にぃ?(笑)」
本当に、家族─母さんだけは幸せになって欲しい。
なんて、呑気に考えていた俺は、この晩に起きる悲劇のことなんて想像もしていなかった。
コメント
4件
🍍くんに魔女因子が植え付けられてて、人を襲ってしまうかも知れないから🌸くんは実験するとか…?
おおぅ、…… なるほど?( ᐛ ) 📢くんは🌸くんに家族を〇ろされたと言うことか?(゜∀゜)??