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『自分自身の価値が分かりません。
生まれた理由も無いみたいです。
誰か僕を56してください。
__助けてください。』
便箋に書いた文字を見つめ、ぐちゃぐちゃにして丸める。
隣の部屋からは__母親と父親の、喧嘩する声。時折、がちゃんと叩く嫌な音が聞こえてくる。
『子供は、ただ親のお荷物でしかない』
さっき触れたばっかの粒子に、ぽつん、と、涙がこぼれ落ちる。
***
エゴサっていうの、初めてしたかも。
スマホの画面に、自分の嘘くさい笑顔が映る。
それが、ムカつく。
「ほんっと……」
……はぁ。
本当の自分って、誰なんだろ。
***
みんなの前では必ず笑顔。苦しい顔は絶対に見せない。
『幸せです』って嘘つく、無垢な〈あいら〉。
___ 一方。
泣き虫で親の関係も何にも出来ない、弱い僕。《藍良るいり》。
『なんで、あなたは普通に出来ないの……ッ!』
母さんの、悲鳴に似た声を思い出す。
『るいり。これ以上、母さんをおかしくさせないでくれ…?』
父さんの、失望したかのようなため息。
ごめんね。
僕、母さんたちの期待には応えられないや。
ただの道化役だね、僕。