――物語の中。
異能演舞「シートン動物記」の舞台は、広大な荒野。咆哮と風の音だけが響く、無法の大地。だが、今は静まり返っている。
立っているのは、ライアと霧島。
異能消耗は限界に達し、すでに”物語”を維持するだけで精一杯だった。カオスも獣も、もう出せない。だから――ステゴロだ。
ライア:「…ククッ、まさかこんなことになるとはな…。300年ぶりの異能演舞の果てが、”素手の殴り合い”だなんてよ。」
霧島:「…黙れよ。派手な技が出せなくても、オレはテメェをぶっ倒す。それだけだ。」
ライア:「上等だ。来いよ、”死にかけ狼”。」
霧島、疾駆。
荒野を蹴り、ライアへ突進する。血まみれの体、折れた肋骨、視界はぼやけ、呼吸さえ苦しい。
それでも――止まる理由なんか無い。拳が唸る。
ライア、回避。
ライアは紙一重で拳を避け、そのまま肘を振るう。霧島の顔面に狙いすました一撃――だが、霧島は首を捻って回避。
そのまま膝蹴り。
ライアの腹に深く突き刺さる。
ライア:「ッ…おらぁッ!!」
ライアも怯まない。肘打ちからのショルダータックル。霧島が弾かれる――が、反撃。ローキックがライアの足を刈る。
お互い、ボロボロ。
だが、拳は止まらない。
霧島:「オレの”物語”は――まだ終わっちゃいねぇんだよ!!」
ライア:「なら、終わらせてやるよ!!!」
肉弾戦、最高潮。
拳と拳、膝と膝、蹴りと蹴り。血と汗が飛び散るたび、荒野に響くのは獣の咆哮にも似た叫び。
互いに一歩も引かない。
そして――
決着の一撃。
霧島の拳が、ライアの顔面を捉える。
同時に、ライアの蹴りが霧島の顎を打ち抜く。
――沈黙
そして、どちらともなく地に倒れる。
夕焼けが、二人を染めていた。
……勝者は、まだ決まらない。
コメント
1件
今回も神ってましたぁぁぁぁ!!!!! 完全な殴り合いやぁ、、やばすぎやってぇ、、、誰か止めてくれ(( どっちももうボロボロなんでしょ?もうやめましょう!!(は? でも殴り合いだったらどっちかと言うとライアたんの方が色々経験ありそうな気がする( 次回もめっっっっさ楽しみいぃ!!!!!!