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1話なり
二次創作です。
ご本人様には関係ありません。
某実況者様のお名前をお借りしています。
誤字脱字等あるかもしれませんが、
温かい目で見守ってくだされば幸いです。
尚、ご指摘等は程々に宜しくお願いします。
全身が痛い。目の前が歪んで見えるのは涙のせいか、はたまた額から流れ出す血のせいか。
人々の怒声、非難と怨嗟の声に耳を塞ぎたくなるも手足の重い枷がそれを難しくしている。
無理に引っ張られるせいで、首には丈夫な首輪が食い込んでくる。
罪を償え、愛しい人を返せという叫びと共に投げつけられる硬い石。
一体全体、俺が何をしたというのだろうか…。
物心つく前から今までの間、冷たいのっぺりとした白い部屋に押し込められていた。
外に出されたかと思えば、火で炙られだり、水に沈められたり、管で繋がれて痛い思いをした事もあった。
一番嫌いだったのは、ニンゲンが猫撫で声で寄越してくるご飯を食べなきゃ行けない時。
口を覆われるから、吐き出したくても吐き出せない。
毒を混ぜているのだといつも食べ物を投げてくるニンゲンが言っていた。
体が痺れたり、声が変になったのもそのせいだった。
今はもう要らないからと、あの高台の上で見せびらかすようにして殺されるらしい。
ニンゲンなんて、大嫌いだ。
こんな奴等、二度と信用してなるものか。
高台の上に立てば、それよりも高い位置に座る傲慢な王が此方を見下ろしていた。
猩々色のマントに身を包み、民の歓声の元に紡がれる声は、突如として途切れ、驚いた顔をした王は、高台から崩れ落ち民を巻き込みながらグシャリと音を立てて潰れた。
先刻まで王が立っていた場所に、蒼い髪と瞳を持ち、赤いマフラーを巻いた男が刀を片手にそこへ立っていた。
あまりに突然の出来事に、人々は呆然としていたがしんと静まり返った空気に絹を裂くような女の悲鳴が響いた途端、一斉にワッと俺の後方へと駆け出して行く。駆け出す民に突き飛ばされ、地面に倒れ込んだ。
動くと全身が悲鳴をあげてすごく痛かったが、なんとなくこのまま死ぬ気にはなれず醜く足掻いている間にもニンゲン達は燃やされたり、矢で射抜かれたりして死んでいった。
次第に逃げ切ることは不可能と理解したのか、俺を贄として許しを乞おうとする者達が俺に向かって走って来た。
必死の形相で我先にと手を伸ばすニンゲンの姿は恐ろしく、あまりの恐怖にピクリとも動けないでいると、眼前に大きな純白の羽を持った天使が舞い降りてきた。
天使は輝く弓に同じく輝く矢をつがえ、上空へと放つ。すると矢は四散し、周りのニンゲン達に深く深く突き刺さり、鮮やかな赤が蝶のように舞い散った。
天使は此方を振り返ると、天使らしからぬ態度で悠々と煙草を吸い始めた。
煙草を吸いながらジロジロと見回され、なんともいえない気持ちになる。
周りはあんなにも幸せに満ち満ちているニンゲンで溢れかえっていたというのに、今ではただの屍と成り果てていた。
返り血を浴びて重く湿った服は、肌に張り付いて気持ちが悪い。
「きょーさん、こっち終わったよ。」
先程の男が少し離れた場所からゆったりとした足取りで此方に向かってくると、俺の真横に仁王立ちしている天使に声をかける。
どうやらこの天使らしからぬ天使は“きょーさん”というらしい。
「あぁ…こっちも終わっとるで、らっだぁ。」
こっちの蒼い男は“らっだぁ”というらしい。
らっだぁの綺麗な蒼い髪や赤いマフラーは、すっかり赤黒く色付いてしまっていた。
きょーさんは煙草を地面に落とすと、靴底で踏みつけるようにして火を消した。
じっと2人を見つめていると、らっだぁが俺の顔を覗きこんで穏やかな声で尋ねてくる。
「ねぇ、キミの名前は?」
「ア、ァゥ……エ…」
長い間喋るという事をしてこなかったためか、自分から発せられたものは到底言葉とは言えないものだった。
「なんや、名前無いんか?」
「ナ、イ…ナマ……ェ…」
なんとか絞り出した言葉は、ぐちゃぐちゃの発音で、聞き取れたかも怪しかったが2人は俺の言いたい事を的確に汲み取ってくれた。
「んじゃ、キミはこれから…」
らっだぁの澄んだ蒼い瞳と目が合った。
優しい色をたたえたその瞳には何処か懐かしさを感じた。
「みどりいろ、ね!!」
「よろしくな、どりみー!!」
この2人がどういうつもりで俺を助けようと思ったのかは分からなかったけど、懐かしさの正体を、なにかが始まる予感を確かめるべく。
俺はらっだぁときょーさんに手を引かれて歩いた。
どうも、チェシャで御座います。
さて、今回は第1話ということで前回のちら見せとその続きを載せることとなりました!!
いまいち行替えのポイントを理解していない為、大変見辛いことと存じます。
初心者なりに試行錯誤して精進していく所存にございます。
なんとなくあとがきのようなものを載せておりますが、次回からは裏話やちょっとした設定を…と思っております。
それでは、今回はここまでとさせて頂きます。
また第2話でお会い致しましょう。