wki×mtk
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(wki side)
今日は 、雨が降っている。
いつもより静かな街に 、雨音だけが鳴り響く。
自分はギタリストの仕事をしていて、今週はバンドのサポートやレコーディングとかなりハードスケジュールだったので、身体も疲労困憊していた。
普段は使わないバスに乗り、自宅から最寄りのバス停で降りる。
「うぅ~、寒っ、」
雨は殆ど止んだけど、やっぱ寒いなぁ~。
手をすりすりと擦り合わせながら、俺はとある公園に向かう。
帰り際に、高台の公園から街の景色を眺めるのが俺の日課だ。
しばらく歩いて、公園に足を踏み入れた、その時の出来事だった。
「…えっ、?」
俺が見たのは、衝撃的な光景だった。
高台の柵に立ち、飛び降りようとしてる少年が居た。
俺は驚きで少し固まった。
その子の脚は小刻みに震えていて、怯えているようにも見えた。
俯いている顔を見ると、明らかに泣いていたが、無表情だった。
今の状況をやっと理解した頃には、足が前に進んでいて、急いで彼の腕を掴み引き寄せる。
何だか、この子を放っておいてはいけない様な気がした。
「何してんのっ、!」
焦りながら彼にそう言う。
「えッ、?」
彼は驚いて振り向き、今の状況に困惑している様子だった。
「何でッ、…離してッ」
彼は抵抗しようとするが、弱っているのか何も力になっていない。
こんなこと突然されて、困惑するのも分からなくはないけど。今はそういうの関係ない。
気にせず、俺はそのまま彼の手を引き家へ向かった。
continue…
コメント
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続きめっちゃ楽しみです!