頭が酷く痛い。
指先の感覚が無い。
目玉を抉る鉄の誰かが微かに笑みを浮かべる。
まるで路上で干からびたミミズを貪るシデムシの様に、彼らはいつも暗闇から覗き込んでいる。
枯れそうな花、ぐったりとしている小動物、鳴き疲れた蝉、壊れかけのものばかりが落ちている。
あなたももうすぐだ。
それが落ちるまで待っている。
新しい朝が来たらまた闇の中に溶けていく。
狂いだした時計は未だ止まる気配は無く、その場しのぎの歪な音をだしている。
歪んでいる玄関、ボロボロで血が滲んでいる畳、寂しい居間、剥がれた天井、傷んだ壁、色褪せた表彰状、腐敗した床、クレヨンの落書きと破かれた写真、不揃いの錆びた包丁、賞味期限切れのレトルト、埃とゴミでいっぱいの洗面所、カビだらけの風呂場、割れている窓ガラス、軋む階段、閉められた扉はドアノブが無い、何も無い部屋、庭の方から気配がする。
放置された墓。
掘り起こされた土。
おまえ。
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