ぁーぁー、本日は晴天なり。
なんちゃって、今日土砂降りなんだけどね。
でも雨は好きだよ、俺には太陽なんて眩しすぎるからさ。
え?いいじゃんせっかくの卒業制作なんだ、もっと楽しくやった方がいいら?
ダメ?月は厳しいね、じゃあマジメにやるよ。
2006年7月17日母希実富と父夕星の間に静岡県伊豆半島の端っこで俺は産まれた。
普通の子には育てない、気付いたのは確か小3位…否もっと前かな?確かに昔から人と合わせるのは苦手だった気がする。
幼稚園の給食は偏食で食べれない、給食が食べ終わらないと昼休みのない時代だったから俺は友達と外で遊んだことなんてなかった。
砂場遊びも嫌いだった、皆が夢中になってお城や団子を作ってても砂を触る感触が嫌で俺はひとりぼっちでうさぎにそこら辺の草をあげてた。
小学校に上がっても集団行動が苦手で、時間割が理解出来なかったよ。なんでそんなもので縛られるんだって泣いたと思う。
友達と話すのも苦手だった、俺はばあちゃんっ子で、ばあちゃんが話す訛りが強かったから、何言ってるか分からないって何回も言われた。あと話が下手なのもあると思う、自分の話をしすぎても嫌がられるし、相手の話に相槌を打つだけでも嫌がられる、そのバランスなんて俺には到底取れようもなかった。
そして小3の夏、俺に転機がおとずれた。
大好きだったばあちゃんが死んだ。
ばあちゃんの死を受け止められない俺に母さんは、ばあちゃんはじいちゃんに会いに行ったのだと言っていた、だけどよく分からなかった、戦争で死んだじいちゃんに俺は会ったことがないから。
なんでそんな知らないじじいを俺より優先するんだー、なんてそれなりにやばいことを思ったよ。
周りの大人たちはみんなみんな泣いていて、嗚咽を堪えるひっくり返った音が時折聞こえてくる。
まぁ、そんな光景見てたら流石にな、普通の人より断然遅かったけどようやく気が付けたよ、俺はおかしいんだ。
ただ1つ普通なことがあるならば俺は葬儀中ずっと泣いていた。
でも他の人の涙とは根本的な何かが違ったんだよ、何かわからないど。
周りをみてるとやっぱり他の人と同じになりたかった、人は異物を排除しようとするから。だから葬儀が終わったあと俺は結構頑張ったよ、普通になりたくてね。
授業を真面目に聞いたり、体育のペア活動を相手に合わせたり、自分から声をかけに行ったり、訛りをなくしたり。
ここまでやったのは自分を愛してくれたばあちゃんに申し訳なかったのもあるかもな、愛情注いだ子が将来社不になりました、なんて報われないじゃないか…
それなりに上手くやったよ、友達だって出来た、ひとりぼっちでうさぎに餌をやることはもうない、友達に会話を嫌がられることもない。
俺は…普通になれた気がした。
それでここからの小学校生活は面白くないから話さないけど、え?聞きたい?…また気が向いたらね。宿題?そんな細かくやる必要ないよ、あの先生緩いもん。
ん?続き?いや月が止めたんだろ…
はいはいそんな急かすなよ、えーとそれで中学に上がって二週間かな?俺にもう一度転機が訪れた。
上級生の部活動紹介、俺は何かを一生懸命やるタイプじゃないから、部活は週2のパソコン部に入るつもりだった。友達にも誘われてたし。
でも、最後の方に吹奏楽部の順番が来てさ、その時流行ってたポップスを演奏してくれた、ほんとにすごかったよ。身長が低くて前の方に居たからさ、耳にガツンと来るあの音、何となくほんと何となくだけど、音楽なんでちょっと習ってたピアノの知識程度だったし、でもそんな知識量でもこの人達は上手いんだって思った。
気付いたら手拍子しててさ、楽しくて、自分もやりたかった。
体験入部は友達に付き合ってたから1回しか行けなかったけど楽器を演奏することの楽しさはその一瞬で知ったよ。
だから俺はやっぱり吹奏楽部に入った、ちなみに俺をパソコン部に誘った友達は野球部に入ったよ。
それで1日目は楽器についてとか部則とかを教えてもらって終わり、確か20分位早く終わった、コンクール前だし先生も上級生を見たかったんだろうね。
でも俺はさっき言った野球部の友達を待ちた─野球部の友達の名前?そんなの書く必要ある?まぁいいけど、佐野薙ノ太だよ、そうそう5組の。
で、話しもどすけど、俺は薙ノ太を待つためにグラウンドに近い下駄箱に向かった、眩しかったから日影なそこで宿題でもやろうと思ってね、そしたらすごいんだよ、そこに転がってるやつがいた。
正直俺以上にヤバいやつかと思ったよ。誰だと思う?違うよ薙ノ太じゃない、江村だよ。江村と幼なじみだと思ってた?うん、こないだ朝日先生にも言われたよ。まぁ仲良いからね、付き合いは2年だよ。
でも出会いが下駄箱だ、面白くて面白くて。そんな出会い嫌じゃないか?まぁああいう自由なやつ嫌いじゃないからね。それに吹部に入って初めて出来た友達だから、特別さ。
それでその日は特に会話もなく次の日Ms.下駄箱江村は座学の時話しかけてきた、下駄箱で少し話した程度だったからお互い名前も知らなかったから自己紹介から。
お?思い出した?そう、俺らが出会ったのもそこ、右隣にいたから。まぁほんとはちょっと違うけど…ん?こっちの話だよ気にしないで。
まぁ前日の自己紹介なんて俺は何も覚えてなかったから、そこで名前を知った。
江村悠夏、トランペットパート希望。
山根月灯、希望なし。
それで俺、ホルンパート希望、佐野──
もうそんな時間か、帰ろう。それ来週まででしょ。
ごねないで、もう暗くなるから帰ろう。
「じゃあ、途中まで一緒に帰ろう。」
うん、いいよ。
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