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「今くっつくなって言ったでしょ」

スンミンが顔を顰めながら、太ももに乗った俺の顔を押し返す。賢者タイムだからだって。指に挟んだタバコを押し付けられそうになったから大人しく引っ込んだけど、賢者非賢者関係なくいつもだってくっつかせてくれないくせに。


でもいいよ。俺はスンミンのそういうところが好きだから。

そういう事のためだけに呼び出されて、そういうことをしてる時だけ苦しいくらいにくっつかれて、あー、粗末に扱われてるって思うくらいが1番好き。

常に暴力的で、突拍子も無いことを言う。

でもスンミンは頭がいいから、きっとそのうち馬鹿な俺なんか切り捨てて、美人で料理の上手な女と結婚する。そして子供のことで疲れた顔して、すっかり親の顔をするんだ。根が真面目だから、最期は平凡な死に方を選び取る。


同じホテルにいて、同じように息をしているのに、馬鹿な俺とはまるで違う。


「スンミン、映画見に行きたい」

スンミンは何も言わない。

わかってるよ。馬鹿からしたら頭のいいひとは魅力的でも、頭がいい人からしたら馬鹿はただの軽蔑する対象だって。でも俺が周りより美人だから、せめて体の関係はもってくれてるんでしょ。

でもいいよ、俺はそうやって見下してくれるお前が好きだから。


「すんみな、大好き、また遊ぼうね」

ネジがゆっるゆるのラブホのやっすいベッドから降りて、その頬にキスをする。さっさとその辺に放り投げたスマホと財布をもってドアノブに手をかけると「じゃあね」と声がした。いつもより早くて、いたたまれない時の声。


「あはは、じゃあね~」


バタン、とドアが閉まる。

つー、となんでも無いのに涙が頬を伝った。今もう一度ドアを開けて真面目な話をする勇気は、俺には無い。

そうだよね。お前は、いつだって完全に悪にはなり切れない所があるってわかってた。そんな返事いらないのに。優しい所なんて見たくないのに。

でもいいよ。お前が俺を手放すまで、俺は馬鹿に生きてあげる。

俺は、お前のそういうところが好きだから。

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