注意事項!!
・文章力のかけらもございません
駄文でございます
・この作品は
『とある日本兵とロシア兵の日々』
の後日譚となります。
先にそちらからお読みください。
長いですがご愛嬌ということで…()
・日帝=日本です。
・露帝はロシアとは別人です。
・その他諸々、現代と関連するような
言葉がありましてもあくまでもこの作品は
二次創作であるため史実とは一切関係はございません
今年は、太平洋戦争が終わってから
79年目の年だ。
私は日帝という名から日本という
名に改名した。
毎日毎日社畜人生を送るように
生活が変わったが、日帝時代の
訓練三昧よりかはましだと思って
必死に社会の歯車として働いている。
「…寒っ……」
そして、今日は久しぶりに
ロシア国内へと足を踏み入れた。
現在のロシアは戦争中で渡航は危険だと
何度も言われたが、私の元クローン…
いや…元身内とでも言ったほうが良いのだろうか。
なんにせよ、その人の墓参りに行かねばと
思い、危険を承知してこのロシアの地へと
降り立った。
「…流石2月…
ロシアは寒いですね」
時は2月。
コートを着ていても肌寒く、時折
冷たい風が頬を撫でる。
早くお墓参りに行って、少しだけ建物の
中で休憩して、早く帰りましょう。
…きっと、あの人は私が来ることを
望んでいないだろうから。
『祖国の勝利など、どうでもいい!!
もう俺は無辜のロシア兵をこれ以上
殺したくない!!!』
…無辜の民を殺すことを拒み
私に逆らって死んでいった、
彼の声が鮮明に蘇る。
ロシア帝国に撃たれ彼が死んだときの
事を、今まで一度たりとも忘れた事は
無かった。
積もる雪をざくざくと踏み、時折
寒さで感覚が無くなりそうになる
指に息を吐きかけながらなんとか
歩き、少し開けた場所に出た。
「…あ、ここですかね」
事前にロシアさんに教えてもらった場所と
酷似している。
おそらくここが、彼と…彼の親友であった
ロシア兵のお墓なんだろう。
小さな墓石が置かれ、墓前には水の入った
コップと枯れかけたお花が添えられていた。
私以外にもここのお墓にお墓参りをする
人が居るんだろうな。
「……」
私は手を合わせて祈った。
あの人たちを殺した私に、こうして祈る
資格など無いのかもしれないけれど…
せめて、あちらで幸せに暮らしていることを 願って。
花を替え、水を入れ直し、墓石を軽く
水で洗う。雑草を抜くのも忘れずに。
この寒さの中ではそれだけの行動でも
重労働で、全身が震えて仕方がない。
だが、なんとかカイロなどを駆使して
墓石の掃除やらは終わった。
ピカピカになった墓を見て満足するように
腰に手を当てた。
「…よし、終わった」
そろそろ帰りましょう。
そう思って振り向いた時、後ろに
私以外の人が立っていた。
「…あれ、僕以外にここに
お墓参りに来る人って居たんですね」
そう言って花を持ち、にこにこと
微笑む好青年。
大きめのウシャンカ帽を被り、
もこもこのコートを着て手袋まで
付けている。
その人の顔の日の丸を見た途端悟った。
目の前に居る彼は私と同じ…
人間とは隔たれた世界に居る存在だと。
「…日本人、ですか?」
「えぇ、まぁ。今はロシアで
暮らしてますけど…
貴方ももしかして在露日本人ですか?」
「いえ、私は今日墓参りに
来るためにロシアに渡航して…」
「今ロシアって戦時下ですよ!?
すごい度胸ですね、あなた…」
青年は呆れた様にこちらを見た。
なぜ初対面なのに呆れられなければ
いけないんだ、という日帝時代の感情が
蘇りそうになったので慌ててこらえる。
「…そういえば、あなたはここの
お墓の方の…ご遺族か誰かですか?」
ふと気になって尋ねてみた。
その青年は「まさか」と言って
首を振る。
「僕たち、この近くの土地を
買ったんです。
広くて自然豊かな土地。
で、散歩してたらこのお墓を
見つけて…
初めて見つけた時は僕たち、本当に
びっくりしましたよ。
すっごい寂れてて…」
その青年は当時を思い出しながら
語った。
「でも、お墓を観察してるうちに
名前が二人分彫られてて…多分、
二人の人がここに埋葬されてるの
だろうなって。
僕たちになんか似てるな、って
あの人が言ってからこまめにここに
来てるんです」
「…あの人?」
首を傾げると、その青年はパッと
笑顔になった。
「はい。僕の大切な人で…
もうじき来ると思うんですけど」
そう言って青年は後ろを振り返った。
「あ、丁度来ました。
お疲れ様です」
現れたのは、手に水の入ったバケツを
持った青年だった。
日本人の青年とおそろいの
ウシャンカ帽を被り、こちらは
ダウンコートを着ていた。
マフラーを巻き、顔周りがやけに
もこもことしているのがやたら
目についた。
そして…顔に白、青、赤のラインが
入っている。
この人も私と同じ、こちら側の
人間だろう。
背が高く、体格もがっしりとしている。
Theロシア人…といった感じだ。
「……?
知り合いか?」
「いや、ここで会ったんだ」
「へぇ…まぁここで会ったのも何かの
縁だろうか」
青年(ロシア)に、パッと手を
差し出された。
「初めまして…俺、こいつと
一緒に暮らしてるやつです。
顔見る感じ、日本国の人…ですよね?」
「ご丁寧にどうもありがとうございます。
そうですよ、私の名前は日本。
日本国の仕事をやらせていただいてます」
差し出された手を握り返す。
挨拶をしている横で、青年(日本)は
目が飛び出すんじゃないかと思うほどに
目を見開いていた。
「………え、ってことは…
そ、祖国様…ってこと?」
「いうなればそうですね」
その瞬間、ズザザザと凄まじい音を
立てて青年(日本)が土下座した。
「えっ、はっ!?!?」
「すいっませんでした…舐めた口きいて…
ぼ、僕、ここで切腹を!」
「待て待て待て待て、そんな
勢いで自殺しようとすんな!!」
パニックになっていた青年(日本)を、
青年(ロシア)が制止する。
この光景に、既視感を覚えた。
「ま、まぁまぁ…私は大丈夫ですから。
そうやって元気に過ごしてくれている
方が私としては嬉しいですからね」
「…うぅ、本当…すみません…」
ほんの少し涙目で青年(日本)は
謝った。
「…ん、日本国さんが来たってことは
もしかしてお墓掃除とかしました?」
「あ、はい。墓石磨いて、雑草抜いて、
お花も変えましたし…お線香も
焚いてきちゃいました」
「そんなに…じゃあ、俺たちは
墓参りだけで良さそうか」
青年(ロシア)がバケツを置いた。
「えっと…日本国さん、今日は
ありがとうございました。
せっかくですしこのまま俺たちの
家でお茶でも飲んでいきませんか?」
「ふふ、ありがとうございます。
ですがあいにく、この後用事が
ありますのでご遠慮させていただきます」
「そうですか。なら、また別の機会に」
青年(ロシア)は、ふんわりと
優しい笑顔を浮かべた。
「…それにしても、随分と
日本語がお上手ですね」
「嗚呼…こいつに教えてもらったんです」
肩をぎゅっと寄せ、二人が密着する
形になる。
お互いを信頼しているからゆえの行動だと
すぐにわかった。
「俺がこいつにロシア語を。こいつは
俺に日本語を教えてくれて…
今じゃバイリンガルですよ」
「バイリンガルは言い過ぎだってば!」
二人はそう言って、顔を見合わせて
笑った。
「ふふ。…じゃあ、私はこのあたりで
お暇させていただきましょうかね」
「もう行くんですね…また日本に帰る時が
あったらよろしくお願いします」
ペコリと頭を下げられた。
私はカバンを持ち直し、お辞儀をしてから
去ろうと思ったのだが━━━…
「…あ、すみません。
最後に一つ聞きたいことが」
無意識に振り返って質問していた。
「祖国として聞きます。
…今は、貴方たちは幸せですか?」
そう、尋ねると。
「幸せじゃないわけが、
無いじゃないですか」
青年二人が笑っていた。
私はあの二人を殺して
しまった事を、全ての戦争が
終わってから後悔した。
日帝から日本へと変わり、
平和主義になってから、ようやくだ。
もし、あの時二人を見逃していたら?
あのまま日露戦争で勝利し、あの
二人は幸せに過ごせていたんだろうか。
今となっては何もわからない。
過去は、決して変えられないのだから。
「そんなとこで何やってんだ、日本」
「…露帝さんですか」
ふと振り返ると、そこに居たのは
懐かしい露帝の姿。
「そんな薄い服だと凍えるぞ。
これ、やるから着とけ。
見てるこっちが寒い」
コートを投げられた。
戦時中に嫌という程見た、
懐かしい露兵のコートだ。
ありがたく頂戴し、コートを
着こんだ。
「それにしても、お前
こんなとこで何してたんだ?
今戦争中なの、お前が知らない訳が
無いだろ」
「…お墓参りですよ」
「…嗚呼、あの二人か」
露帝さんが苦い顔をした。
「…俺さ、後悔してるんだよ。
あの時…撃たなかったら多分、
日本兵とロシア兵とで一緒に
過ごせてたんだろうなってさ」
ちょっとこれは政治的なこと
だが、その二人をきっかけに、
もしかしたら日露関係は良好に
なっていってたかもしれない。
露帝さんはそう言った。
私はその言葉に笑った。
「今更何を思っても、もう
遅いんですよ。露帝さん」
「…辛辣だな、日本」
「だって、わかりきった事
ですし」
私はコートをぎゅっと握り、
かつての光景を思い出す。
血の匂いと火薬の匂いが混じった
小屋の中、二人の兵士が
覆いかぶさるように死んでいる。
その命を奪ったのは、
私たちだ
「過去は、もう二度と
変えられません」
露帝さんに話しかけるでもなく、
私はぽつぽつと語った。
「だから、未来に引き継ぐんですよ」
「過去の過ちを繰り返さぬ様、
記憶して、記録して。
他の人に、語って」
「そうして、誰もが安心して
過ごせる世界を作るんです。
あの二人の様に、やるせない
気持ちで死ぬ人が現れない様に」
露帝さんは俯いていて表情は
読み取れなかった。
でも、きっと彼なら十分
わかっていることの筈だ。
「…では、また」
「日本」
去ろうとしたとき、露帝さんに
引き止められた。
「…また、いつでもロシアに
遊びに来い。
不肖の息子は戦争で忙しくて
出れないだろうが、俺で良ければ
ロシア全土案内してやるから」
露帝さんの表情は、どこか
切なげでもあった。
私は微笑みを返した。
「じゃあ、その時は
お願いしますね」
そうとだけ返して、私は
さよならの挨拶もせずに
立ち去った。
私と露帝さんの関係なら、
これくらい距離が空いている方が
丁度良いんだろうと何となく
わかっているから。
帰り道、雪が降ってきた。
ふと見上げると、空はどんよりと
曇っていた。
また、あの2月が来る。
毎年2月は後悔の月だった。
殺してしまったことへの罪悪感に
埋もれ、抜け出せない後悔と
言う名の底なし沼に足を取られる。
それが、終戦してから毎年だった。
でも、今年はきっと違うだろう。
あの二人は、また違う形で
一緒に過ごしている。
同じことを繰り返さぬように。
決して、あの二人と同じ感情を
抱く人が現れぬように。
頑張ろうと一人心に決め、
私は帰路に着いた。
Fin
急な駄作感。
一話目の方が良かった気が…
てことで、このシリーズは一応
完結です。
何かまだ深堀してほしい所が
あったらコメ欄で教えて下さい。
リクエストは随時受け付けて
おりますのでじゃんじゃん
お申し付けください!!!!
では次回。
コメント
18件
駄目作とか言ってますけど どれだけこの話に心打たれたか知っているのか!? もう貫通しちゃったよ!??! とにかく後日談をありがとうございます
転生したのがあの二人だったりして
なんか切ない あの!!表現の仕方とか がすごずきません?!???? なんでこんなことできるの?ぉ