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ー戻ることない失った日々を、ただ眺めるべくして私は存在するのだー
悲しい事だと思うか?
私も最初は思ってた。
今はどうでも良い。
半ば諦めてたんだ。
そしたら君が来た。
何処か悲しそうに歩いている君に、興味が湧いた
気付いて欲しくて態と枝を踏んだ。
パキッと軽い音がして君は驚き辺りを見回す。
「誰ですか」
存在に気付いたのが嬉しかった。
「可憐なお嬢さんはこんな処で一人何してるんだ」
「可憐なお嬢さんじゃありません。私は武士の娘です。」
「武家屋敷の娘?あゝ、彼処のか。」
此処らで有名な武家屋敷の娘か。通りで長脇差から脇差まで帯刀しているのか。
「で?何でまたこんな処に?」
再度問う。此処は深い山の中。簡単には来れないだろうから迷ったとは考えにくい。
尤も、立派な着物を着ている時点で私のように親に捨てられた訳では無かろう。
「私は死ぬ為に来たのです。」
少し面食らった。こんなに恵まれてそうな麓の姫が死にたがり?世も末か。
「貴方は鬼神様でしょう?私を殺してください。」
「鬼神?」
私に殺されに来た?どういう事だ。
「町で聞いたんです。此処には人を殺す鬼神様が居るって。だから私、殺して欲しくて此処迄来たんです。」
「色々気になる事はあるが、まず訂正させろ。私は誰も殺してないし普通の人間だ。」
「あら、姿を見るに随分と綺麗な方ですこと?人が山深くで無精髭生やさずそんな綺麗とは考えられません。」
いや普通に人間なのだが?
「…」
黙っていると娘は頭に着けていた笠を取った。最初の印象とは真逆の美しい笑顔が現れ、口を開く。
「提案があります。殺してくださらないのなら、せめて私を妻にしてくれませんか?」
「は?」
武家の娘:日帝
15歳
何やら訳ありの様子で山に来た。気が強い。
何故か死にたがりな美人。
鬼神?:ナチス
21歳
母の不倫で生まれ、バレないようにする為に山に捨てられた。
実は結構山を降りてて、そこそこ遠くに唯一の友人(?)が居る。
初対面で死にたがりの美人に求婚されて今まで生きてきた中で一番驚いた。