【雨の日の悪戯】
kn×shk
学パロ
↓
わんく
↓
雨の日のきんときはご機嫌だ。
隣を歩く彼をそっと見上げると、隠しきれない笑みが浮かんでいるのがわかる。
晴れの日に手を繋いで歩くのとは違う距離 感。
傘の柄を隔てたすぐとなりにある恋人の肩。
kn「ごめんね、シャークん」
彼はへにょりと眉を下げて言う。
俺は彼が傘を持っているところを見たことがない。
今日みたいに雨が降った日は必ず一緒に帰ろう、と連絡が来る。
傘忘れちゃった、という文言と一緒に。
校門で合流して、目を細めてまた?って言うとしょんぼりして可愛い顔のきんときが見られるので毎回聞いてしまう。
shk「いいよ別に。…… 恋人、だし」
恥ずかしくなって反対側を向く。
となりで彼が笑ったのがその息遣いからわかって、さらに顔に熱が集まる。
どうしたのシャークん、なんてわかってるくせに。
kn「ねぇねぇこっち向いて?」
shk「やだ」
kn「えー、シャークんのかわいい顔見たいのに」
shk「今はだめ」
kn「ケチ」
そろりと伸ばされた手もはたき落とした。
どうせ顎つまんで向かせる気だろう、 同じ過ちは繰り返さない。
その後は諦めたのかしばらくは何もなかったが、信号を待っている間、傘を持っている方の腕にきんときが手を絡めてきて、あっという間に傘が彼の手に渡った。
取り返そうとするが、身長も腕も長い彼に は敵わない。
shk「ちょ、きんとき、それ俺の傘」
kn「いーでしょ別に、駅まで一緒なんだか ら」
shk「まあ、そうだけど……」
kn「シャークん腕疲れただろうから交代しただけだよ」
shk「……本当に?」
なんだかいい笑顔のきんときに真意を尋ねるも、本当本当、と軽くあしらわれてし まう。
雨足はだんだん強くなってきて、傘で防ぎきれない足なんかが濡れていく。
あともう少し、と自分を励まして、重くなった靴を持ち上げた。
顔を上げると体の半分ぐらいを雨に晒したきんときがいて、は、と息とともに声を漏らした。
shk「きんときお前」
kn「あれ、気づいちゃった?」
爽やかに笑う彼の髪から水滴が滴るところを、俺は確かに見た。
ぴょんぴょんと飛び跳ねて、彼の手から 傘を取り返そうと試みる。
そんな俺の抵抗を片手であしらう上に、俺が濡れないようにいちいち傘を移動させて来るんだから執念というかなんというか、まあえげつな い。
shk「馬鹿野郎、俺の傘返せってば」
kn「ふは、やーだね」
悪戯っぽい笑みを浮かべ、彼は俺の両手を片手で掴み取った。
文句の一つでも言ってやろうと口を開いた瞬間、柔らかいもので塞がれた。
いつも見上げていた青が二つ間近に輝いて、息ができない。
十秒経たずに離れたはずなのに、もっと長い時間くっついていた気がする。
キスだと気づくまで、呆然と彼を見上げていた。
kn「お姫様を濡らすわけにはいかないじゃんね」
傘持ってないの俺の方だし、と、その言葉を理解する頃には頬は真っ赤に染まっていた。
shk「……もう、入れてやんねぇ」
kn「え、待ってごめん、調子乗った、嘘う そ、謝るから、ほんとにごめん」
さっきまでの余裕の表情が一変し、慌てだすのが面白くて、思わずくすりと笑った。
shk「次やったら今度こそ置いて帰るから。あと、傘返せ」
kn「はぁーい……」
渋々といった様子の彼から傘を受け取る。
赤くなった頬を隠すために彼から顔を背けた。
実はキスされて嬉しかった、だなんて口が裂けても言ってやらない。
コメント
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knさんがいっつも雨の日に傘忘れたとかもってない理由ってshkさんと相合傘するためでは…?