【可愛いとかっこいいは紙一重】
nk×kn
学パロ
↓
わんく
↓
恋人の席に座ってみる。
予想通り、机の中には大量の教科書が詰め込まれていた。
軽く蹴ってもびくともしない。くすりと笑って、その机に突っ伏した。
軽く目を閉じ、彼を思う。
快晴の瞳が特徴的な彼は、いつどんなときでもキラキラと輝いていて、ころころと変わる表情がそれをより際立たせる。
その頬をつまんで引っ張るとよく伸びるのは俺しか知らない事実だ。
彼は今先生に呼び出されていて、帰りが遅くなるらしい。
先帰ってていいよ、とメッセージが来ていたが、いつもふたりで帰っていた道を一人で歩くのはなんだか寂しくて、こうして彼を待っている。
ガラガラと教室のドアが開く音に、意識が浮上する。
どうやら少し眠っていたらしい。
ぼんやりとする頭を上げてドアの方を見ると、恋人と目が合った。
彼はしばらくポカンとしていたが、慌てて俺のところ……
というか、自分の席に駆け寄ってきた。
nk「きんとき!?先帰ってていいよって言ったじゃん!」
kn「ん…… Nakamuと一緒に帰りたかったから、待ってた」
nk「え、なにそれ可愛すぎるんだけど。じゃあ一緒に帰ろ、もう五時半になるよ」
そう言われて窓の外を見れば確かに空がオレンジ色に染まっていた。
そうだね、と頷いて鞄を手に取った時、そのポケットから小さなものが一つ、コロンと転がって机の上を滑り、Nakamuの足元へ落ちた。
nk「なにこれ。はちみつ飴?」
kn「ああ、それ喉の調子が悪かったときに 買ったやつ。ほしいならあげるよ」
nk「いいの!?やったー!」
満面の笑みを浮かべてその口に黄金色の飴を放り込むNakamuについ「かわいい」なんて溢したのが間違いだった。
表情が一 転し、その瞳がギラリと妖しい光を放つ。
…… きっと夕日に当てられてるだけだよ ね?
nk「可愛いって言った?今」
kn「いや、なんというか、言葉の綾」
nk「問答無用!」
じりじりと距離を詰められて後ずさるが、五歩下がったところで背中が壁にぶつかって逃げ場がなくなる。
右側、つまり教室の出口に向かって走ろうとした直前、ダ ン!とNakamuの左手が顔のすぐ右を叩く。
あ、これって。
踵を持ち上げて背伸びをしたNakamuが、ずいと顔を近づけてくる。
夕日がちょうどよく彼の背中に当たり、俺に彼の影をかぶせた。
その人差し指が顎に当たり、思わず視線をそらした。
その先に映ったのは、開けっ放しになっている教室の扉。
kn「あの、Nakamuサン……ドア開いてるから…」
nk「そうだね、早く済ませないとね♡」
どうやら、やめるという選択肢はないらしい。
彼は人差し指と親指で俺の顎をつまんで、ぐいと自分の方に引き寄せる。
nk「きんとき、こっち向いて?」
早くしないと他の人に見られちゃうかも よ、なんて言われてしまったら彼の言う通 りにするほかない。
彼と目を合わせると、いい子、と甘い声で囁かれた。
一気に顔が熱を持って熱い。
はちみつの甘い匂いが鼻に入って、思考がそれに奪われたような錯覚に陥る。
誰も教室の前を通り過ぎないことを願うばかりだった。
ドサリ、と床に鞄が落ちる音がどこか遠く聞こえた。
nk「口開けて」
その行動をするよりも早く、唇を奪われ る。
カランコロン、と音を立てながら彼の舌と俺の舌が触れ合い、唾液が混じり合 う。
さらには飴が俺の口の中に押し込まれた。
俺はされるがままにNakamuに弄ばれるだけで、指一本動かすことすらできなかった。
舌を引き抜いたNakamuは人差し指で銀の糸を絡め取り、満足気に笑う。
nk「ほら、きんときの方が可愛い」
彼があまりにもカッコよく笑うものだか ら、俺は目をそらすことができなくて。
大きく鳴る心臓の音が体の中に響いた。
Nakamuの右手が俺の頬を撫でて、つっ ついたところで、魔法が解けたかのように ぎこちなく彼を押して体から離した。
大きく息をついて、鞄を拾い上げる。
kn「………… わかったから、さっさと帰る ぞ」
nk「ふふ、きんとき顔真っ赤」
kn「うるせぇ!」
上機嫌な彼から差し出された手を乱暴に掴んで、ふたりで教室を後にする。
カラリと口の中で鳴る黄昏色の飴には、まだキスの温度が残っていた。
コメント
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あぁ…もう最高です。 尊い…!