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「はぁ……。早く治んないかな」
私は山田凪紗《やまだなぎさ》。高校2年生で女子バスケ部の部長。一昨日、交通事故で足と腕の骨が折れ、入院している。完治するのは3ヶ月後だという。リハビリなども含めて部活に戻れるのは5ヶ月後。
「もうすぐ大事な大会なのに…こんな所で時 間使ってられないよ……」
どうしてこんなことになったんだろう。
「君も入院してるの?」
声が聞こえた先には私と同じくらいの年齢の男の子がいた。
「えっと……うん。君は?」
「僕も入院してるんだ。この病院、僕と同い年くらいの子が居なかったからすごい嬉しい!」
その男の子は、太陽のような笑顔で言った。入院してるのになんでそんなに笑顔でいられるんだろう。
「僕は中3だよ。結構前から入院してる。」
中3なんだ。結構前っていつからなんだろう…。
「そうなんだ 私は高一。交通事故で骨折しちゃって…」
「交通事故か…。というか僕より1つ歳上なんだね。じゃあ敬語の方がいいかな?」
「敬語じゃなくていいよ。」
「わかった。これからよろしくね。」
また太陽のような笑顔を見せた男の子は立ち上がり、自室に戻って行った。
そういえば名前聞くの忘れたな。今度会った時に聞こう。
「あ!おはよう」
聞いたことのある声が聞こえた。昨日の男の子だった。
「おはよう。そういえば、名前は?」
私は昨日から気になっていた事を男の子に聞いてみた。
「僕は佐藤湊《さとうみなと》」
「じゃあ、湊くんって呼ぶね。私は山田凪紗。改めてよろしくね。」
「うん!」
湊くんはまた、太陽のような笑顔で返事をした。
―もう少しでこの笑顔を見られなくなることを知らずに……。