「さぁみんなー!帰るよー!」
「ぇぇー」
日が暮れる。ナギ先輩によるとここらへんは日が落ちると5m先も見えなくなるほど暗くなるらしい。
「帰ったら飴玉あげるよ。だから帰ろっか。」
「やはー!」
飴玉で釣られる子供達は天使そのもの。また地獄の時間が来るとなると嫌だと思うが、一人になるのはもっと怖い。
「ちぇーちぇ、捕まってもい?」
「うん。…ねぇ、ナギ先輩♪私も捕まってもい?」
「…分かったわよ。馴れたら離れてよね。」
「はーい!」
ナギ先輩、こういうとこは優しいんだよな。アルマちゃんは私の代わりに子供達の相手してくれるし。…はじめはここで働くのがちょっと嫌だったけど、今思えばそのときの私は愚かだ。
「うっ。…ナギ先輩、行きより風強くないですか?」
「そうね。落ちないでよ?」
「はぁい。」
レイ君ははしゃぎすぎて眠ってしまった。この可愛いレイ君をアルマちゃんに預けて、私は下を見た。…やっぱ怖い。
「うわっ、」
バスはうねうねと走行する。いつ落ちてもおかしくないほどに。
バァン!
なんの音だろう。後ろからそんな音が聞こえた気がした。
「ユラギちゃん!伏せて!」
え?伏せて?ナギ先輩、慌てすぎで…
バァン!バァン!
「ちゃぁー!」
間一髪だった。後ろからの音は銃撃だった。なにあの人たち!?エイリアンそのものだろ。そのエイリアンは電動バイクのような物に乗り、私たちを銃撃してくる。話は通用しなさそうだ。
「このままじゃ日が完全に落ちてしまう。」
「急がないと…。」
太陽は半分ほど落ちてしまっていた。もって2時間というところだろうか。
「せんせ、耳が痛い…。」
猫獣人、犬獣人の子は耳をふさいでかがんでいた。そうだよね。犬と猫は耳が良い。しかも犬獣人の子達は臭くて倒れると言っていた。ナギ先輩とアルマちゃんはきっと我慢しているのだろう。
「あの!攻撃、止めて下さい!子供達がいるんです!」
「…___…?」
なんて言っているんだ?エイリアンだから使う原語が違うのか。
「._ ._._.??」
「あの!こ、う、げ、き!止めて下さい!…バンバンを!」
そう言うと相手は銃を構えた。やばい、どうしよ。
「__.__ ._ .___. _… .__.__ _._.. ._.__ .. __.__ ._.__ _.__…__. ._..?? 」
今度は長い。手で✕を作ってみた。これで効果があるか分からないけど。信じるしか…。
「加賀峰さん!」
そのとき、空から声がした。…天神さんだ。
「加賀峰さん、これを。では。」
渡してきたのは錠剤?なんの?役立つかも知れないし…。一粒だしと思い、飲んでみた。
「おい、あの女なんか飲んだぞ。」
「え?」
エイリアンたちが何を言っているのか分かる。凄い!
「ユラギちゃん、何か聞こえたの?」
「はい、あのエイリアンの言葉が…。」
「エイリアンとは失礼な!」
ナギ先輩たちにはつーとんとんなどに聞こえているらしい。まてよ?現世ではこれ、モールス信号とか言ってたような…。
「あ、敵意はありませんので…。攻撃お止めください。」
「こ、この女!俺らの言葉が喋ってるぞ!」
やっぱ神ってすご…。この薬ってド○えもんのほん○くこんにゃくみたいな感じってことだよね。やば。
「ま、まあいいや。我らは異次元超人の飛行部隊だ。よろしく。君たちが違法入国者に見えたんだ。すまない。」
「いや、まず話聞けよ。攻撃はそれからだろ。」
「すまんすまん。」
園児たちはギャン泣き。すまないで済むと思うな。霧がかかった空は何も見えない。しかし、お礼にとエイリアンたちが前を照らしてくれているお陰でまだましだった。
「…ユラギちゃんって、凄いね。」
「神のお陰です。」
アルマちゃんは園児たちを泣き止ませ、園児と寝ている。可愛いなぁ。
「ここまで送って頂き、ありがとうございます。」
「いえ、もともとこちらが悪いので。」
それはそう。けど、ど…バスから落ちなかっただけましと思おう。
エイリアンたちはこちらに手を振り、帰って行った。遠足、疲れた。
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