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「家庭訪問…ですか。」
毎年この季節になるとあると言う家庭訪問。人によっては鬱陶しい方もいらっしゃるそうで。ナギ先輩はだるそうに個表を見ていた。
「で、ユラギちゃんには何人かの家庭訪問をして欲しいの。」
「誰でしょうか。」
「ディミニア君とレイ君、エアリスちゃんよ。」
レイ君とエアリスちゃんは全然良い。問題はディミニア君だ。鬼人族って自分の言うことは絶対合ってるみたいな種族らしいからなぁ…。そもそもディミニア君は問題児だし。
「だから今日は午前保育なのよ。私とガゼリア君も家庭訪問行かないと行けないから頼んだわ。」
「わかりましたぁ…。」
いつも頼ってる先輩がいないとなると私どうしよ。そもそも一対一で話すのが苦手なのになぁ…。園児相手なら別だけど。
「みんなぁー!今日は先生達はみんなのおうちに行くので今日はここまでー!」
「えー?しぇんしぇ家来るのー?」
「そうだよ。みんなが普段どうしてるかをお母さん達に教えるの。」
園児たちはきゃぁーといって顔を隠したりしていた。めちゃ可愛いわ。
私も小さい頃こんなのあったのかな。
「ユラギちゃん、はい。これみんなの住所だから。」
渡された住所はどれも知らないものばかり。
え、どうやって行けって言うの。
「えっと…。」
「私の机にある時計持っていきな。地図機能あるから。」
さっすが先輩。スマートウォッチみたいな感じで腕につければいいんだね。便利だなぁ。
「一番近いのはエアリスちゃんの家か。」
エルフだから綺麗な場所に住んでそうという私の勝手な偏見は置いておいて。スマートウォッチによればエアリスちゃんの家まで徒歩5分。行けなくはない。
けど待てよ?このリールベントから元の世界ほ繋がってるはずだから私の自転車使えば良くない?
「ナギ先輩!ちょっと私帰ります!」
「えっ?今っ!?」
天神さんのお陰でリールベントから自宅は徒歩0分。扉を開ければ自分の家がある。
最高過ぎないか。
「今帰りましたぁー!」
自分の自転車は軽い自転車だから片手でも持てる。カッコいいからって理由で買ってよかった。まぁ、そのせいで取られたりしたんだけど。
「何、それ。」
「自転車です⭐️」
異世界には自転車がないのか。みんな魔法使えたり飛べたりするから。…ふふっ、聞いて驚くことなかれ。この自転車は電動なのだっ!徒歩5分の距離なんて、ちょちょいのちょいなのだっ!
「では!行ってきます。」
久しぶりに乗ったけど、やっぱ早いなぁ…。
早すぎて前髪オールバックになっちゃってるけど。…ほんと、異世界って綺麗なとこだ。空気は綺麗だし、夜になると星が沢山見えるし。給料は天神さんが両替してくれるし。
「困ることなんて、ないなぁ…。」
私の友達はみんな、成功して大儲けしたりテレビに出たりと凄い人ばかりだ。それに比べて私は…。
気づくと私はもう、エアリスちゃんの家の前にいた。
「はぁーい。」
「エアリスちゃんを担当しております、ユラギと申します。」
エアリスちゃんの家、凄い豪邸だな。
全体的におっきい。
「はい、わざわざありがとうございます。さぁ、中へ。」
「失礼します。」
ひっっっろ!玄関広すぎだろっ。こんな家みたことないぞ。
「先生、お掛けください。」
「ほんと、スミマセンね。」
ご丁寧にお茶まで…。エアリスちゃんのお母様、美人ですね。
「エアリスは保育園でどんな子ですか?変な事してませんか?」
「はい、エアリスちゃんはとても大人しく、優しい良い子ですよ。」
今思ったけど私教員免許持ってないよね。今更だけど。このお茶美味っ。
「そうですか。良かったです。」
「よくエアリスちゃんは本を読んだり、園で育てている植物に水をあげたりしています。」
「まぁ…。」
「ところで、小学校の事などは考えていらっしゃいますか?」
ナギ先輩が言ってた。ここリールベントは私立の保育園の為、小学校も私立を受けるか聞かなくてはならない。保育園の試験ってどんなのなんだろ。
「エアリスが私立の小学校を受けたいのなら私立に行かせますが、今のところそんな話は聞いていませんので、ここから近いナイジュディアに行くかと。」
「わかりました。」
なんだ、それ。初耳。ナイジュディア?凄いカッコいい名前の小学校ですね。公立なんですよね?
「わざわざお茶までありがとうございます。では、家庭訪問はここで終了になります。」
「ユラギ先生、ありがとうございました。ほら、エアリス。隠れてないで出ておいで。」
あら、エアリスちゃん。そんなとこに隠れてたの。階段の手すりに掴まって。可愛い…。
「せんせ、また、ありた。」
有田?明日か。言い間違いも可愛いなぁ。幼児はこれぐらいじゃないと可愛くないよ。
「では。」
次はレイ君の家が近いのか。徒歩2分だからこれは歩いて行こう。…エアリスちゃんのお母さん、ほんと美人だったなぁ…。お父さんも美形なのかな。
「こんにちは、ユラギ先生。」
「こんにちは。」
レイ君のお母様とは何度かお話ししたことがある。レイ君が私の話をおうちでしてくれているらしい。
「レイはどんな感じでしょうか。」
「ふふ、レイ君は私といつも絵本を見ていますよ。」
めちゃ可愛いですお宅の息子さん。私が読むと次これよんで。と、次々に本を持ってくる。飽きないのか心配だが、可愛いからよし。
「レイ君は、小学校どうしますか?」
「…そうですね、もう何年かすればレイも小学生。この子の為になることをしてあげたいです。」
私は子供を持ったことがないからわからないけど、子供の為になることをさせてあげたいからって理由で子供が傷つく事もあるんだよね。そこんとこはほんとに難しい。
「まだ迷ってるので、決まれば直接言いますね。」
「はい、そうしてくれると助かります。」
家庭訪問が終わるとレイ君は私に手を降ってくれた。…さぁ、次は問題のディミニア君だ。