コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
深夜。
とあるアパートの一室で、その行為は行われている。
「……っや、」
「いいのかよ? 声、我慢しねぇとアイツに聞こえちまうかもしれねぇぜ?」
「っんん」
「まあでも、普段アイツもお前を抱いてんだから、別に構わねぇか。どうせなら聞かせてやればいい」
「……っや、……ダメ……」
「何の『駄目』だよ? アイツに聞かせたくねぇってこと?」
「そ、れも……ある、けど……、……やっぱり、こんなの、……」
「は? 今更それ言う? お前が言えた義理かよ? いつまでもどっちつかずのくせに」
「……っ、ごめ……ッ」
「別にいい、謝って欲しいわけじゃねぇし。俺はただ、お前が俺のことだけを見てくれりゃそれでいいんだよ」
「っ、」
「ほら、いつまでもそんな顔すんな。今は俺のことだけ考えてろよ。アイツのことなんて、考えんじゃねぇって――」
「――ッんん」
大学入学と共に実家を離れてひとり暮らしを始めてから、約三ヶ月。
ある日を境に、この行為は定期的に行われることになった。
相手は私の幼なじみ。
幼い頃から一緒で、兄妹みたいに育った間柄。
そんな彼らは双子。
私たちは三人同じアパートに住んでいて、
私の部屋の両隣に彼らが住んでいる。
そして私はそんな彼らに、
代わる代わる――抱かれている。
私と幼なじみの彼ら――陽向と奏多は、家が隣同士で、生まれた頃からいつも一緒だった。
親同士も仲が良くて、旅行も二家族一緒だった。
幼稚園、小学校、中学校、高校と全て一緒だったし、何ならクラスも一緒。
とにかく離れたことのない私たちは大学進学も当然同じ。
私は文芸学、陽向は経済学、奏多は教育学とやりたいことは違っていたけど、通っている大学はそれら全ての学部が揃っているところで、まさに私たちの為にあるような大学だった。
ただ、県外だったからどうしても実家を出なくてはいけなくて、初めは大学が用意している寮に住もうかと思っていたのだけど、ちょうど三部屋並びで空いているアパートを見つけた私たちはそこへ入居を決めた。
私の両親が陽向と奏多が隣なら安心だと言って快くひとり暮らしを許して貰えたから有難かったし、三人一緒なら新生活も心強かった。
入学して暫くは慣れない環境に苦労したけど、それぞれ友達も出来たし、バイトも決まったし、手探り状態ではあったけれど、大学生活を楽しんでいた。
そして、二ヶ月が過ぎたある日のこと、
楽しかったはずの新生活は音を立てて崩れ始めていく。
あの日は、奏多が居酒屋のバイトで深夜まで留守で、たまたま暇を持て余していた私と陽向が一緒に夕食を食べた流れでお酒を飲みながら映画を観ていた。
こんなの、よくある日常のひとコマだし、実家に居た頃も夜更かしをするなんていつものことだった。
だけど一つ違ったのは、それが三人じゃなくて二人きりだったこと。