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東京の廃墟と化したビルの一室。
そこに座っていたのは―― 両面宿儺。
周囲には崩れた壁、割れた窓、黒焦げの床。
そんな荒廃した空間のど真ん中で、宿儺は 日本酒を嗜んでいた。
宿儺「クク……これは悪くない。」
片手に持つのは、純米大吟醸「呪ノ雫」 。
かつて呪術師たちが特別に醸造した秘蔵の酒だ。
無論、現代には存在しない。
彼がどこから調達したのかは謎だった。
宿儺は盃を口元に運び、ゆっくりと傾ける。
鼻腔をくすぐる濃厚な香り、喉を通る滑らかな味わい。
宿儺「フッ……やはり、貧弱な現代の酒とは格が違うな。」
ゴクリ。
――至福。
彼は戦闘の合間、こうして酒を飲むのが 何よりの楽しみ だった。
一方、その様子を遠巻きに見ていたのは、彼の配下の呪霊たち。
呪霊A「……なんで、あの人、そんなに優雅に飲んでんの?」
呪霊B「知らん……けど、あれが最強の呪いなんだぜ?」
呪霊C「めっちゃ雰囲気あるけど、ただの 酔っ払いのおっさん にしか見えねぇ……。」
呪霊D「シーッ!!聞こえるぞ!!!」
宿儺は盃を置き、彼らをチラリと見る。
宿儺「……フン。」
ピキッ。
次の瞬間、呪霊Cの頭が 爆ぜた。
呪霊D「ギャアアアアアアア!!」
呪霊A「す、すみません宿儺様!!」
宿儺「貴様らの無粋な声が、せっかくの酒の味を落としたぞ。」
呪霊B「(酒の味が落ちるって何……!?)」
宿儺は無造作に盃を転がし、 次の酒を用意するよう手をひらりと動かす。
呪霊A「は、はいっ!!ただちにっ!!」
呪霊たちは血まみれの仲間を放置し、
新たな酒を手に入れるため、全力で走り去っていった。
宿儺「……やれやれ。戦の前の一杯ほど、旨いものはないというのに。」
彼は酒瓶を持ち上げると、もう一杯、自らの盃に注ぐ。
宿儺は昔を思い出す。
千年前――彼がまだ人間だった頃。
戦の合間に、仲間たちと酒を酌み交わし、
勝者として 余裕と風格 を見せつけた。
その頃と比べれば、今の呪術師どもは 随分とつまらん。
宿儺「フン……昔の奴らはもっと粋だった。」
ゴクリ。
彼は再び酒を飲む。
そして―― 次なる戦いに思いを馳せる。
宿儺「さて……12月25日まで、あと18日か。」
盃を置く。
宿儺「奴らがどんな戦力を揃えようが、関係ない。」
彼は不敵に笑った。
「結局、俺の前では 全てが無意味だ。 」