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コメント
10件
天才ですかッッッ太宰さんありがとうございます😭
オイオイオイオイ 俺が文ストで2番目に好きなカプじゃねえか最高かよ!!!!!(((2番目かい
あら〜〜〜、太宰さん恋のキューピットじゃ〜ん!! その内中也も加わるかなww
⚠️注意⚠️
・芥敦
・学スト軸
・慣れてないので口調迷子(温かい目で見守ってくださると嬉しいです)
・原作とは一切関係ありません
☆全年齢(軽いキスあり)
では、いってらっしゃい
思えば、僕と芥川は会う先々で喧嘩をしていると思う。
喧嘩の発端はいつも向こうで、些細なことを注意するだけで彼奴は文句を云ってくる。そして僕も負けじと反論する。そして口論が始まる…というのが何時もの機序。
もうこれを聞いただけでも判るだろう。
僕と芥川は仲が悪い…犬猿の仲だということを。
だから、あの時、不覚にも意識してしまったのだ。
彼奴が、 芥川が見せた、
ほんの少しの隙に
朝、生徒達が校門を通り抜ける時間…今日も2人は口論を繰り広げていた。
「あーくーたーがーわー!」
『五月蝿い。少しは黙るという行為が出来ぬのか』
「じゃあその校則違反なんとかしろってば!! 」
校則違反、というのは、芥川が耳に付けているピアスの事だ。
注意した回数も片手では数え切れない程。否、両手でも足りないかもしれない。
『………』
「おい無視すんなよ!」ベシッ
『貴様の声は耳に響く。朝から騒ぎたてるな愚者が』
「はぁぁぁあ!?!?」
「…って感じなんですよぉ…」
《君も懲りずにやるよねぇ。私だったら疾っくに諦めて見逃してたよ》
そう愚痴を漏らしている相手は、同じ武装生徒会の一員であり、書記長の太宰治である。 昔から芥川と関わりがある幼なじみというわけで、よく相談に乗ってもらっている。
《もう諦めたら?》
「其れは厭です!僕が敗けたみたいになるじゃないですか!」
「そんなことしたら、僕のプライドが持ちません!!」
《……君も曲がってるね》
「?そうですか?」
そう。ここまで必死に芥川と乱闘を繰り広げているのも、唯負けるのが厭だからという理由だ。
勿論、潔く諦めた方が疾いというのは目に見えて判っている。
でも、何度も乱闘していく内に、どうにかこうにかピアスを外させたいという謎の対抗心が芽生えてしまったのだ。ここ迄きたのであれば、絶対に勝ってやる。
「…というか、此れ太宰先輩が云ったら辞めてくれるんじゃないですか?」
《ええ〜?敦君でも駄目なら私でも駄目でしょ》
「そうですか…取り敢えず頑張ってみます…」
実は、太宰は云うのが面倒くさいのと、折角の面白い絵面に水を差すまいと企んでいるのは、敦は知る由もない。
〜昼休み〜
「うげ…お気に入りのパン売り切れてるし…」
「(今日はツイてないなぁ…まあこういう日もあるよね。切り替え切り替え!)」
と云い聞かせるが、積もりに積もった芥川への不満も相まって、なんだか気分が沈む。
「はぁぁ……」
『其処で貴様は何を項垂れているのだ』
「はっ!?え?あ、芥川か…」
『何だ其の目は。何か不満か?』
「別に何も!?」
僕の気分が沈む原因の八割はお前の所為だわ!!と云いたい気持ちを抑え、成る可く平然を装う。
「そう云う芥川は此処で何をしてるの?」
『愚問。購買に用があっただけだ』
「ふーん」
「まあいいや、んじゃ僕は向こうで食べるから」
そう云って足早に立ち去ろうとしたのも束の間、
『待て』
「?何__ってうわあっ!?」
彼奴が自分から話しかけるのは珍しいな…と思いつつ、素直に振り返る。
それと同時に、何かを投げられ、反射的に其れを受け取った。
「!此れは…」
『貴様、此れが食べたかったのだろう?』
渡されたのは、先程僕が食べられずに落ち込んでいたお気に入りのメロンパンだった。
「え?此れくれるの?」
『だからそうだと云っている』
「…ありがと」
『一々感謝をするな面倒臭い』
素っ気なく返事を残し、背を向けて去っていった。
「…僕、芥川に此れ好きって云った覚え無いんだけどな…」
「(もしかして、知らない内に僕のこと見ててくれてた?あの芥川が?)」
「(それに、普段彼奴って購買使ってたっけ…)」
そんな考えを悶々と巡らせるが、まあ折角貰ったのならば有難く食べよう。
少し気分が上がった敦は、浮ついた気持ちで昼休みを過ごしたのであった。
「はぁぁぁあぁ…」
放課後。生徒会の仕事をなく、早く帰ろうとしたのも束の間。
外は土砂降りの雨が降っていた。
「(折角、先刻は良い気持ちだったのになぁ……)」
「(今日、太宰さんに夕方雨が降るよーって云われたけど…真逆ここまでとは思わないじゃん…)」
この浮ついた気持ちを一気に押し流していく雨は、いよいよ激しさを増す。
「(んー如何しよ。傘も無いし家も遠いから此の儘帰る訳にはいかない…)」
「(教室で課題でもしようかな)」
そう思い、再び教室に戻っていった。
ガララッ
「(うげ…)」
如何やら、先客が居たみたいだ。
『………』
芥川は、自分の席で静かに本を読んでいた。
余程本に夢中らしく、僕が入って来たことには気づいていないみたいだった。
そして、生憎僕の席は芥川の後ろだ。
ガタッ
態とガタッと音を立てて座ると、流石に芥川も僕が居ることに気づいたらしく、静かに目線を此方に向けた。
『…何だ、居たのか貴様』
「だって雨なんだもん。僕傘持ってないし」
『…そうか』
そう軽く返事をすると、目線を再び本に戻した。
僕はというと、明後日迄に提出しなければいけない課題を机に広げ、悶々と解いていた。
「……」
『……』
会話を挟むことなく、お互いのやることに没頭する。
聞こえるのは、雨の音と、カリカリというシャーペンの音、そして、時折本の頁を捲る音だけ。
「……お前はなんで帰らないの?」
『暇潰しだ』
「暇潰しって…傘あるんだったらさっさと帰ればいいじゃん」
『………其れは無理だな』
「はぁ…?」
曖昧な答えを返す芥川を疑問に思いつつも、まあどうせ傘が無いのだろうと再び視線をノートに戻す。
「(んー…此処判んないな… )」
彼此れ数分は悩んでいる此の問題。他の問題は既に解き終わらせている為、後で考える訳にもいかず…
「ね、芥川」
『何だ』
「此れ、教えて」
僅かな希望をかけ、目の前の男に質問を投げかける。まあ、普段喧嘩しまくっている此奴が僕の為に教えようだなんてしてくれる筈も無いと思うが…仕方ない。解けないものは解けないのだ。
『何処だ』
「へ?え、あ、此処なんだけど…」
危ない。思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。真逆、何も云わず教えて呉れるとは。
『?何をそんなに驚いている』
「え、否…ちゃんと教えて呉れるんだ…って思って」
『貴様は僕を何だと思っているのだ』
「云うこと聞かない校則違反者」
『煩い。教えぬぞ』
「御免って」
普段のお返しも兼ねて一寸した悪戯をしてみたが、其れをものともせず、話を例の問題に戻した。
『此処は____』
淡々と真っ直ぐな声で説明していく芥川。
僕が知らない、何時もとは違う真剣な表情で、時折チラつくピアスがキラリと光る。其れが不覚にも僕の心臓の音を加速させていく。
『___聞いているのか』
「へっ!?あ、ご、御免!聞いてなかった…」
『貴様から教えろと云ったにも関わらず聞いていないとはな』
「ご、御免…」
『そして、先刻から何故僕の顔をジロジロと見ているのだ』
「え?い、否、何でもないよ!」
不覚にも芥川の顔に見惚れていたなんて、死んでも口に出せないだろう。
『…もしや、僕に見惚れでもしていたか? 』
「は、はぁ!?違うよ!変なこと云うな!!」
『ふっ…冗談だ』
「こんの…ッ」
顔がぼふんっと赤くなる。なんだよ、新手の厭がらせか?そんなことを云いたかったが、恥ずかしさを消すのに手一杯で、頭がぐちゃぐちゃだった。
「(何々だよ…笑うなよぉ…)」
思えば、芥川の笑った顔なんて、今日で初めて見たかもしれない。
『手が止まっておるぞ。課題を終わらせるのではなかったのか?』
「お前の所為だ莫迦野郎!!」
『貴様の為にもう一度だけ説明してやる。次で最後だからな』
顔を赤くして猛抗議する僕を他所に、至って冷静な芥川は、再び説明を始めるのであった。
「あー!やっと終わったー!」
達成感と脱力感で、ぐーっと背伸びをする。
「ありがとな。芥川」
『感謝するなと昼にも云っただろう』
「別にいいでしょ。一寸位素直になれっつーの」
『素直…か』
「何々?素直にピアス外す気になった?」
『断じてなっておらぬ』
「即答すんなよ…」
『まあいい。今は気分が善いからな。そこ迄貴様が素直になれと云うのなら、教えてやる』
急に立って僕の横に来たかと思えば、 すぅ…と先刻の様な真剣な顔付きになり、真っ直ぐな目で僕を見下ろす。
「な、何…?」
『………』
する…と僕の頬に手を添えると
ちゅっ
僕の唇に、触れるだけのキスを落とした。
「…………」
「……はっ??」
一瞬、何が起きたのかわからなかった。
今…キス…
「え!?!?あ、ちょ、え?」
状況が飲み込めない。キス?何故僕に?普段あんなに口論しまくってるのに?
『僕は、貴様を好いている』
「え?す、好いている…って」
『無論、恋愛的な意味だ』
淡々と冷静に告げる芥川に、空いた口が塞がらない。
「ちょ、一寸待って…え?ん?好き?芥川が?僕を?」
『先刻からそうだと云っているだろう』
「普段、喧嘩しかしてないのに?」
『ああ』
「…………」
最早此れは夢なのか。そんな莫迦な考えが頭を駆け巡る。
『…まあ、急にこんな事を云われても直ぐに返事はできないだろう』
『返事はお前の好きな時でいい』
「え、あ、うん……」
『もう遅い時間だろう。帰るぞ』
「へ?お前、傘無いんじゃ……」
『?何を云っているんだ。傘ならある』
「じ、じゃあ何で帰らなかったの…?」
『愚者め。其れ位察しろ』
雨が降り、偶然教室に居合わせた。帰らない理由を聞いた時、芥川は言葉を濁した。
真逆
「…御免。察した…」
そういう事か…
『なら良い。今回だけは僕の傘に入れてやる。有難く思え』
「うん…ありがと」
顔は未だ熱い。
ああ…早く消したい…
ザーーーーー……
未だ雨は降っていた。先刻よりかは弱まっているが、まだ強い方だ。
「……」
『……』
芥川は、僕のスピードに合わせて歩いてくれている。どうやら、僕を気遣ってくれてるみたいだ。
また見つけた彼の新たな一面に、また顔を赤く染める。
「(心臓の音、五月蝿い…)」
この感情の名前は、同じなのか、それとも、急にらしくない事をされて、戸惑っているだけなのか。
「送って呉れてありがと。じゃあまた…学校で」
『…ああ』
そう去ろうとした時
『…否、待て。最後に一つだけ云わせろ 』
「…?」
そう云い、グイッと僕を抱き寄せ、耳元に顔を近づけて囁く。
『これから本気で堕としてやるからな。覚悟しとけ、敦』
これまで以上に頬が紅潮した。
「は、はいっ…」
『ふっ…』
ほんの少し口角を上げて微笑むと、僕の家に背を向けて去っていった。
「…名前、ちゃんと呼べるじゃん」
という場違いな考えは、胸の奥にしまっておこう。
「(というか、なんで芥川は僕が傘を持ってないことを知ってたんだろ…)」
告白する為に待っていたとして、僕が傘を持っていて帰っているということは考えなかったのだろうか。
否、最初から判っていた?
じゃあ、どうやって?
そこ迄考えた処で、僕は漸く気がついた。
今日、夕方に雨が降るという予報を聞いて、傘がないと愚痴を漏らした人物が一人いる。
かつ、其れを芥川に教えるようなお遊びをする人ときたら
「太宰さんっ…!!!!!」
Fin