TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
シェアするシェアする
報告する

※ちょいグロ


「やッやめてくれえ!!!」

ふと、そんな声で我に帰る。

気づけば俺は、いつも通り仕事をこなしているところだった。

どうも、昨日のことがちらついて仕方がないらしい。

なぜチラついて手が動かなくなるのかはよくわからないが、とりあえず目の前の人間を断罪せねば、とナイフを構える。

ゆらり、とナイフの刃が光を帯び、刃に穢らわしく絶望した表情が映る。

「ヒィッ‼︎ゆ、赦してくれよぉ‼︎俺が何したってんだよ‼︎」

耳を劈くかの勢いの、憎悪と怯えのこもった咆哮が飛ばされる。

弱い犬こそよく吠える、その体現がこの人なのかもしれない。

いや、そんなことよりも。

「…何をした?それが、わかってないの?」

「わ、分かる訳ないだろ‼︎」

ぶるぶる、と震えながらも、自分の権力を誇示するが如く叫ぶ。

ああ、こういうのが1番、穢れている。

早く、断罪しないと。

「それこそが、君の持つ1番の穢らわしい罪だよ」

ぷしゅっ、と何とも情けない音がして首の血管が切れる。

「…ぁぇ?」

ぶわ、っとどずぐろい赤が一瞬目線を支配する。

うわ汚い、と目を擦って、再び目を開くと、血で汚れたナイフと、自身の服が目に映る。

「あー、汚い…、俺までも汚れたじゃんサイッアク」

ナイフについた血をはらい、顔についた血を拭く。

服は…まあ、後で洗うしかないか。

はあ、という溜息を”肉の塊”に聞かせる。

沈んだ気持ちと共に、足取り重く、その場を立ち去る。

死体の処理とかは大体しない。

面倒臭いし、そっちのが報道されやすく、闇を暴きやすくなるからだ。

…さて、今からどうしようか。

この沈んだ気持ちをどうにかできるようなことが何か起きないか、と期待を灯していたその時。

「…ちょ、ちょっとねぇ!その服どうしたの!?」

後ろから大きな声をかけられ、肩を掴まれる。

服を見られた、ということよりも沈んだ気持ちゆえのめんどうくさいなあ、というのか勝り、力なく振り返った。

「いえ、なにも…って、あの時の」

振り返った、そこにいたのは、この前教会の近くで迷子になっていた、黄色髪の人だった。

向こうもこちらが誰か気付いたようで一瞬顔を綻ばせるが、再度服に散らばる赤色を見て、その顔を歪めた。

「あ、え、あの親切な人じゃん‼︎マジで何があったの!?転んだ!?」

「あー…まあ、そんな感じ?」

言えなかった。

別に、真実を言えばいいものを。

この仕事に、誇りを持っているし、別に言って嫌われようとも、それは仕方がないことだし、何回も経験をしているはずだ。

でもなんでだろう?

…この人にだけは言いたくないと、思ってしまったようだ。

loading

この作品はいかがでしたか?

128

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚