{カゲチヨとヒサメが抱き合ってから数分…}
「…わりぃ、ヒサメ。ずっと抱きしめちまって…」
「カゲ?」
「え?」
「あ、れ?何でだろっ、急にカゲ、って出てきて…っ」
いつも、「カゲチヨ君」って呼んでたはずなのに…
急に「カゲ」なんて…どうしたんだろう…私。
「ご、ごめんっ。迷惑だよね?やめるね…」
「いや、やめなくていい」
「…ヒサ」
「え?」
「あ、いや、これは…!」
急に「ヒサ」なんて言葉が出てきちまった…
どうしたんだ俺…
「…ふふっ
同じだね?」
「!…だな」
ヒサメが笑う。
まるで、子供のように
無邪気に_
そんな笑顔に、俺はちょっと、いや、かなり
ドキッとしてしまった。
そして、
やっぱり俺にはこの人しかいないんだな、と痛感する。
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電車が駅につき会社へ歩き出す。
歩いている時カゲとは他愛のない話をした。
今日雨予報だ、とか
今日定時で帰れそう、だとか
そんな、誰とでも出来るような会話が、
カゲとだと私はすごく楽しいんだ。
カゲと話してると、懐かしい、というか
安心する。
好き_
そんな事を話しているとすぐに会社についた。
カゲといると時間があっという間だなぁ
なんてことを考えていると
「なあヒサ」
「何?」
「その…今日…一緒に帰れねぇか?」
「えっ⁉︎///」
正直、すっっっごく嬉しい…!
でも…なんて言おう‼︎
…
「あ、いや、嫌ならいいんだ。」
「⁉︎いや!是非‼︎一緒に帰ろっ‼︎///」
「!よかった。じゃあLINE交換しようぜ。
個人のスマホで」
「!うんっ!」
やったぁ!カゲの個人LINEゲット!これから仕事以外でも連絡できるんだ…!
「ふふっ♪」
「あ、ちなみに彼氏は…」
「居ないよ!」
「あ、よかった笑笑…ア”っ///」
「え?///」
なんでそんなこと聞いたんだろ…
もしかしたら…
…そうだったらいいな。
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〈カゲチヨ〉
「今日…一緒に帰れねぇか?」
よく言った俺…!
これで断られなきゃ…
「是非!一緒に帰ろっ‼︎///」
よし!
次は…
「LINE交換しようぜ。」
「うんっ!」
よっしゃ。ヒサの個人LINEゲット!
これで…ようやく告白出来る…。
長かったなぁ、
好きになってから…ヒィ フゥミィ…4年か。
ほんと、長かったなぁ
『今日からこの職場で働かせていただきます。ヒサメです!』
『早く一人前になって、皆さんの様になりたいです!よろしくお願い致します!』
パチパチパチ
『カゲチヨ、です。早くこの会社の一員になりたいです…。』
パチパチ
『カゲ…君、カゲチヨ君!』
『あ?』
『あぁヒサメさんか…これからよろしく、』
『よろしくね!カゲチヨ君!
同じ新人同士、仲良くしましょ!』
『あ!私、ヒサメでいいよ!』
『、嗚呼よろしく…ヒサメ』
『うんっ!』
可愛かったな__
新入社員の時から一際目立っていた。
その特徴的なツノもそうだが、何か目を引くものがあった。
それに、俺だけかもしれねぇけど…何か、懐かしかったんだ。
今思うと、もう既に気になっていたのかもしれない。
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仕事も終わり、ちょうど2人がLINEをしていた。
「今日は誘ってくれてありがとう!」
「いや、此方こそ」
「ところで…カゲは何処にいるの?」
「私はロビーに居たらいいかな?」
「もうちょいで仕事終わるから、ロビー居てくれ」
「わかった」
カゲ…まだかなぁ
今日…は一緒に帰るだけなのかなぁ。
ご飯、一緒に食べたりしたいなぁ。
「…ヒサ!」
「カゲ…!」
「仕事お疲れさん」
「カゲもお仕事お疲れ様!」
「じゃあ、行くか」
「うん…」
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ヒサと合流し、会社を出て、歩き出す。
しばらくの間無言が続いたが、俺は意を決して
「なぁ、ヒサ」
「ん?」
「今日…夜ご飯とか、決まってるか?」
「え、いや!決まってないよ‼︎」
決まってないのか…
じゃあ、誘ってもいい、よな?
「じゃあ、一緒に夜…飯食べねぇか?」
「え、いいの⁉︎」
「ヒサが良ければ…///」
「嬉しい。…あっ///」
「…///」
LINEゲット、一緒に帰る、夜飯一緒…
もう…いいよな。
「ヒサは何が食べたいとかあるか?」
「うーん、今日はお酒が呑みたい気分かも」
「じゃあ、…俺の家…来るか?」
「え”、ぇぇぇ⁉︎///」
ア”ぁぁあ…⁉︎言っちまった!絶対引かれた!
「い、いいの⁉︎」
⁉︎いいのか…?期待してもいいのか⁉︎
「ま、まぁヒサが良ければ…だけど///」
「行きたい!カゲの家‼︎あ、///」
「///じゃあつまみとか買って帰ろーぜ」
「///うん」
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カゲとコンビニで買い物した後、カゲの家にお邪魔した。
「ただいま〜」
「お、お邪魔しま〜す、」
(わぁぁぁぁ〜‼︎⁉︎///
カ、カゲの家にお邪魔しちゃってるよ‼︎夢みたい…
「そこ、テキトーに荷物置いといてくれ」
「う、うんっ‼︎」
(…カゲの部屋…
チラチラ
カゲの匂いがする…好き、
「…」 キョロキョロ
「…何だよ?何かあったか?」
「あ、いや…カゲの部屋ってこんな感じなんだなぁって」
「…散らかってるけど大丈夫か?」
「うん。…なんか懐かしいなぁカゲの部屋。」
「…へ?」
「あ!へ、変な意味じゃないよ⁉︎」
「私カゲの家来たことないし‼︎」
「笑笑、そんなに焦んなくてもわかってるよ。」 (微笑む
「!…///」
ドキッ
ってしちゃったなぁ、やっぱり、私はカゲの笑った顔が好きなんだ。
あの時みたいな
『はぁぁぁー、
また、失敗しちゃった…
やっぱ…私ってダメな人なのかなぁ』
『そんな事ねぇーよ。』
『え?』
『俺は、ヒサメはダメな人間なんかじゃねーと思う…!』
『ヒサメは1回2回のミスだろ?俺なんか何十回もミスしてるからもうため息なんて出ねぇよ!』
『カゲチヨ君…』
『ただ…失敗は成功のもとって言うだろ?
それみたいに、1回の失敗は自分の1回の成長に繋がってるって俺は思うんだ。
だからヒサメはもう2回も成長してる。
自分が失敗することで、何か成長する…
そう思えばいいんじゃねぇの?』
『!…そう言ってもらえると嬉しいな。』
『まぁでも俺は1個も成長なんてしてねーけどな!』 ニコッ
『!…』
『そんな事ないよ。カゲチヨ君も、何かしら成長してると思うよ』 ニコッ
『そう言ってくれると嬉しいわ笑』
あの時…カゲは自分が何も成長してない。なんて言ってたけど、カゲは絶対成長してると思う。
だって最初はただの同僚としか思ってなかった私の心を、一瞬にして変えてくれちゃったのだから
やっぱり…好きな人の効果。って凄いんだなぁ
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今、ヒサと2人っきりでお酒を呑んでいる。
告白するなら、今なんじゃないか…。
「なぁ、ヒサメ」
「はぃ⁉︎な、何⁉︎///」
「あの、そのっ、///」
一世一代の片想い…ここで実らせて見せる。
「あ、あっ…えと、///」
…
ア”ぁ、なんで言えねぇんだ!俺!
ヒサだって困ってんじゃねーか!早く言わねーと!
「…カゲ。聞いて」
「ぁア”?」
「…私。カゲといると、なんか懐かしいんだ」
「…ぇ?」
「なんか、懐かしい、というか。安心するっていうか。」
「…俺も」
「ぇ?」
「俺も。ヒサと話してると安心するっていうか、懐かしいんだ。」
「カゲもだったんだ…。
…カゲ」
「好き。」
「!」
…今こそ…だよな
「俺も好き」
俺たちはそっと口付けを交わした。
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好きって言えたわけだけど、ヒサも俺と同じで“懐かしい”って思ってたことがわかった。
だけど、
「ヒサは…思い出したいか?
俺たちが感じていた“懐かしい”を」
「…正直。
なんで懐かしいって思ってたのかはなんとなくわかってるんだ。」
「…俺も」
「それをもっと口に出せるまで、カゲと過去の“懐かしい”以上の沢山の思い出を作っていきたいな。」
「!…俺も。」
きっとこの懐かしいは、過去の俺たちの
好き
の気持ちなんだろうな。