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宰相アレクシス・ヴァンガードの命を受け、王国の暗殺部隊《黒影》が密かに動き始めた。その一方で、まどかの影響力は拡大しつつあった。
──勇者殺し。
──龍神を討った少女。
──人を魔物へと変える禁忌の術を操る魔法使い。
彼女の名は恐怖と共に囁かれ、王国の貴族たちは震え上がる。だが、その恐怖こそが、まどかの望むものだった。
王都から少し離れた森の奥。
まどかは、肩に止まるフクロウを撫でながら、静かに微笑んでいた。
「……さて、どうしよっか?」
目の前には、魔物へと変えられた兵士たちが跪いている。王国に忠誠を誓った者たち。しかし今は、まどかに仕える “新たな戦力” だった。
「王国は動き出してる。」まどかは呟く。「当然、私を殺しに来るでしょ?」
フクロウが小さく鳴いた。
「でもねぇ、そんな ‘分かりきった作戦’ に、私は付き合う気はないの。」
彼女は口元を歪め、不敵に笑う。
「──こっちから ‘狩り’ に行くよ。」
その夜、王都の貴族街で異変が起こった。
貴族の屋敷が、一軒、また一軒と “沈黙” する。護衛の兵士たちは何の抵抗もできず、次々と “魔物” へと変えられていった。
そして翌朝。
王都の中心にある広場で、一つの “見せしめ” が晒された。
──アレクシス・ヴァンガードの側近三人が、魔物に変わり果てた姿で吊るされていた。
人々は言葉を失い、王国の貴族たちは戦慄する。
「……これは、宣戦布告だ。」
宰相アレクシスは、拳を握りしめ、歯を食いしばった。
「如月まどかは、王国を完全に敵に回すつもりだ。」
それを聞いていた黒影の暗殺者が、一歩前に進み出る。
「……ご命令を。」
アレクシスは静かに命じた。
「如月まどかを殺せ。」
王国と “勇者殺し” の戦いが、本格的に始まろうとしていた。