第48話 かなぐり捨てた化けの皮
「……え」
意識が戻った瞬間、思ったより視界が低いことに冬花は戸惑った。
屈み込んで低い姿勢になっており、身を隠しているかのようだ。
(この車……どっかで見たような……ううん、それより……!)
勢い良く立ち上がり元の人間の目線に戻ると、自分の手――久々の人間の手のひらを見つめる。
(元に、戻った……それに私……)
冬花は噛みしめるように、自分の身体を抱きしめる。
(ちゃんと……戻れてよかったって思えてる……だから、元に戻れたんだよね……)
今のこの状況――元に戻れたことに、心から感謝するように。
その理由ときっかけの言葉が、冬花の脳裏に響く。
『俺は古河に好意を持っているから……「古河冬花」として戻ってきてほしい……というのが、本音だということだ』
「――っ!」
嬉しい言葉であることは間違いないのだが――あの場から離脱。。。