コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
とある秘境内…
「止水の矢!」
公子タルタリヤ、旅人、パイモン、それから鍾離が秘境に足を運んでいた。
「ふぅ…特に強い魔物はいなさそうだね。よかった。」
「よくないよ…折角、難関秘境って相棒が言うから着いてきたのに…」
タルタリヤは呆れたように言った。
「そうでも言わないとお前、着いてこないだろっ!」
と、むすっと頬を膨らませながらパイモンが言った。
「先に進むぞ、もしかするとこの先に難関場所があるかもだからな。」
鍾離はいつもと変わらない声だった。
「そうだったらいいけど、もう終わりじゃないか…」
ため息混じりにだらだらと公子が後を追った。
挑戦開始。
「ーーー!ーーっ!」
(魔物の強さは変わんないか…はぁ…)
そんな事を思いながら魔物を倒していると…
…ドッ
何か上から重たい物が落ちた音がした。
ばっと辺りを見渡すと、
「っ!鍾離先生‼︎」
シールドがあったため、最悪の事態は逃れたようだが、右肩辺りを多少えぐっていたようだった。
鍾離に近づこうと走って彼のもとに向かったが、
「ヒヒヒ…」
アビスがなにやら呪文を唱えていたようで、タルタリヤは鍾離を掴もうとしたが届かず、アビスの攻撃が鍾離に直撃した。
「鍾離⁉︎」
少し後ろからパイモンの声が聞こえた。
ぼぅっと鍾離の辺りに煙が広がった。
「っげほごほ、げふっ、クッソ…」
「馬鹿メ、天井ノ軋ム音ニモ気ヅカナイトハ…」
アビスが笑いながらタルタリヤ達から離れた。
「何してくれるんだっ!」
「っせい!」
挑戦成功の文字が出てきた。
あれが最後だったらしい。
鍾離がどこにいるかわからないため、煙の中を手探りで探す。
「先生、どこ?っ、大丈夫?」
煙を吸ったため、咳が出そうなのを我慢しながら鍾離を探していると、小さな手が煙から出てきた、そんな事を考える間も無く、
「だれだ、なをなのれ…っ」
首に槍を向けられ、小さな鍾離に半泣きで問われた。
「せん、せ?」
「鍾離!公子!大丈夫か⁈」
後ろから旅人達が走ってこちらに来ていた。
まだ煙があるため鍾離の姿は霞んで、あまり見えていないのだろう。
「相棒、おチビちゃん、鍾離先生がちっちゃくなった…」
「はぁ⁈何言って…ほ、ほんとじゃないかっ⁈」
パイモンがずっと叫んでるような声で言った。
キッと槍がこちらに近づいてきた。
「なをなのれといっている…っ、さもなくば、っぐず、ころすぞ…!」
「先生多分幼児化しちゃったのかな…記憶も全部。」
「そうみたい…待って待って、分かった!名乗るから!」
だんだん公子の首に槍が迫って来ていた。
「っず…ゔぅ…」
「俺は…えっと…」
(もしかして、この先生の記憶に俺が入るのか…?だったら不味いんじゃ…)
ぐっと槍が少し首に当たったとき、
「私達はただの旅人、彼は魔神を見たことがないから驚いてるだけ。」
旅人が後ろからさらっと言った。
そこにパイモンも乗って、
「あ、あ〜!そうそう、そうなんだよっ」
明らかに嘘だと分かる声色で言った。
だが今の鍾離、モラクスは幼いためか
「…っ、そうなのか…」
とあっさり信じてしまった。
槍が下ろされモラクスの手に戻った時、どさっとその場に座り込んでしまった。
「っ、ゔぅ…」
「大丈夫かい?…結構血が出てるね。止血しようか?」
なるべく優しい声で尋ねた。
「このくらいは、大丈夫だ…っぐす…あと、っ治せるはず…」
自身の肩に手をかざして、岩元素を流し込んでいるようだった。
ずっと涙をぼろぼろ流していた。
「ちょ⁈なにしてるんだっ⁈」
パイモンが焦った声でモラクスの手を肩から離した。
「俺はほぼ元素でてきているから…ぐす、これで治る…っ」
「だとしても痛くないかっ?」
「…っ痛くない…」
ばっとパイモンの手を振り払って、また元素を自身に流し込みはじめた。
ほんの少し涙の量が増したような気がしたため、
「とりあえずここを出ないかい?また襲われたら俺達ちょっと怖いんだ。」
「うん、それがいいと思う。」
「ほら、一回出ようぜ?怪我はちゃんとした所で治した方がいいぞ!病気とかにかかるかもだしっ!」
「びょうきはっ、かからんが…わかっ、た…」
流石に血を流しながら出るのはまずいため、鍾離が着ていた服を取り、止血し、モラクスをおぶって秘境から出た。
「…これ、服も買わないとかな…?」