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始まります。
首謀者誰なんだろうな〜(すっとぼけ)
亜伊羅微「アドラータを襲撃した首謀者は、他でもないAdelbertの”母”だと私は考えている。」
亜煉羅「アーデルの……母親…?」
Adelbert本人と幼い時から一緒だった彼らでも、Adelbertの親や親族については殆ど知らない。本人も話そうとしないし、そういった話題になることも無かった。
亜伊羅微「これはアーデル本人も中々話さないんだがね……はて、私から話してもいいのか……」
亜水華「おじいちゃん…。お願い、話してほしいわ。アーデルは自分から絶対話さないだろうし……でも、アーデルの妻として知っておくべきだと思うの。」
亜水華の瞳からは強い決意が感じられる。亜伊羅微は孫の成長に感慨深くなりつつも、母親に似た眼差しに懐かしさを感じるだろう。ここまで意思が固ければ何を言っても意味がない、と悟ったのか、亜伊羅微は椅子に座って紅茶を出す。そして2人にも座るよう促し、話し始めた。
亜伊羅微「私達神々の長い長い歴史は…2人は勉強したことがあるかい?」
亜水華「大まかな流れくらいは……」
亜煉羅「僕は父さんから教わったかな。」
亜伊羅微「その長い長い歴史の中で最も恐れられ、脅威とされた、”終焉の象徴”の異名を持つ存在。 大悪魔«Victoria»。それが彼の母親だ。」
亜伊羅微「彼女は特に質の悪いやり方を好んでね、私と君たちのおばあちゃんも手を焼いてきたんだよ。」
亜水華「っ”………」
亜水華もある程度は感じていたのだろう。彼の親はいわゆる闇に近い存在だと。しかし…まさかそんな人物だったとは。Victoriaの存在は神々の歴史を学ぶ上である意味欠かせない存在だ。神々と戦争を起こし、多くの犠牲を払った。決着はつかず、今も紛争状態のようになっている地域が沢山ある。またこの戦争により多くの地域が彼女らによって植民地化され、現在も奴隷が働かされているらしい。 そしてAdelbertが亜水華に話してくれていない事はもう一つある。闇に近い存在…ましてや大悪魔から生まれた彼は一体どうやって天使のような光に近い力を手に入れたのか… 基本的に力は先天的な遺伝によるものだ。まさか彼に天使の血が…?いや、悪魔達は血統に敏感だ。ましてや大悪魔がわざわざ天使と結ばれる訳がない。
亜水華「じゃあ…どうしてアーデルは光の力が使えるの…?」
亜伊羅微「それは私にも分からない。きっと本人に聞くしかないだろうね。本人が一番詳しいだろうから。。」
亜水華「そう………うん、分かった。ありがとう。」
亜煉羅「……でも何で姉さんに言わなかったの?…ほら、結婚したら両家に挨拶に行ったりするし…」
亜水華「その時は両親はもう亡くなったって言われたわ。それに…アーデルは小さい頃からお母さんと私と一緒だったし…」
亜煉羅「アーデル…姉さんに嘘を付いたのか…」
ただでさえ重度のシスコンであり亜水華と結婚したらアーデルを軽く憎んでいる亜煉羅にとっては、アーデルが姉にまぁまぁデカい嘘をついていたとなれば…最早呆れてきたようだ。 しかし亜水華はアーデルにも余程の事情があったに違いない…と一応納得している様子。しかし事情を問い詰めなければならない。夫婦として両家の事情は把握しておきたいし、また彼の過去についても知りたいのだろう。
亜伊羅微「…ひとまず、楽苦阿騎達にも話すべきなんじゃないのかい?八良阿須だってもしかしたら心配しているかもしれない。」
亜煉羅「まぁ……そうだね。」
八良阿須……亜水華達の母親であり、敵の子であるAdelbertを誰よりも早く受け入れてくれた人。病弱な身ながらも最後まで子供達の事を気に掛けていた。優しい自然の神だった。彼の美しい眼差しは、亜水華が一番よく知っている。
彼の夫である楽苦阿騎は強く気高い争神王であり、素晴らしい父親であり妻の八良阿須をいつも気遣っていた。そんな夫婦も…今は天国へ行ってしまった。会えない訳ではない、彼らの血を引く者や両親は肉体として会うことが出来る。それでも…滅多に会えたりしない。それは2人にとっては間違いなく辛いことだろう。
亜水華「うん…私もお母さんに会いたいし…。」
亜伊羅微「分かった。なら一先ず休んで、会いに行く支度をしようか。」
亜煉羅「分かったよ。おじいちゃん。」
『神』。それは全世界に通ずる最上位種。時に人々を導き、正す。時に人々に何かを与える。有名なものは火。何もなかった我々人類を哀れにおもったとある神が、ギリシャ神話の鍛冶神ヘパイストスから盗んで与えたとされる物だ。
そして、そんな神の写し身である我々人類に、神は慈悲深いのなら、もし、神が全てを見据え、望んでいるのだとしたら、。こう言いたい。
“神よ___貴方がこれを望まれたのですか?”
目の前に広がる地獄。止まらない悲鳴。血に染まった建物。気が狂い敵味方関係なく襲いかかりだす仲間。目の前で腕を千切られた仲間。家族と離ればなれになりながらでも戦わなければならない仲間。助けても化け物と罵ってくる市民。食事にありつけずあと一歩で餓死してしまったでろうドラゴン。仲間の遺体なら携帯食を奪って食いつなぐしかない日々。感情すらなくなり無表情で銃を撃つようになった少年兵。
そんな”見てはいけないもの”、”見たくないもの”を沢山見てきた。このまま、地獄が続くだけなのだろうか?
無線で救助を呼び、来るはずの救援を待ち続けながら、今は神の啓示を待つ。
(調査団によって回収された手記。誰のものかは不明。)