サブが放った炎の直撃を魔導獣に向けて撃ち込んだその瞬間、空気が一瞬静止したように感じた。魔導獣の反応は予想以上に早く、サブの炎を瞬時に回避し、鋭い爪で反撃を始めた。しかし、突然、空中に不気味な変化が起きる。
「…何だ?」 サブは目を凝らし、空を見上げた。
その瞬間、空から何かが降り注いできた。それは、無数の黒い影のように空間を切り裂き、地面に落ちる。それが地面に接触した瞬間、空気を裂くような不気味な音を立てた。
「な…何やこれ?!」 みりんが驚きの声を上げる。
その音の正体は、まさに地獄から現れたかのような異様な集合体だった。数百、千もの無数の頭蓋骨が、あたかも一つの生物のように集まり、空間を埋め尽くすように浮かんでいた。だが、その頭蓋骨には恐ろしい特徴があった。全ての頭蓋骨が人間の顔を持っており、それぞれが無表情ながらも血走った目をしていた。
「これは…人面頭蓋骨?」 サブは呆然と呟き、目の前に広がる恐怖の光景に足がすくむ。
その集まりは、まるで意識を持っているかのように動き始め、無数の顔がひとつの意思で一斉にサブたちを見つめていた。
「何者だ、こいつらは…?」 みりんが警戒しながら言う。
そのとき、異魚天が冷徹な眼差しを向け、手に持っていた刀を鞘から抜いた。
「こいつらは禁断の存在。」 異魚天が語り始める。「人間の魂を吸収し、力を得る。それを集めることで、最強の力を持つ『人面頭蓋骨集合体』になる。魔物の末路だ。」
「…最強?」 サブはその言葉に戦慄を覚え、再びその異形の存在を見上げた。
その集合体から放たれる冷徹な視線が、サブたちを圧倒する。数千もの顔が一斉に彼らを待ち構えているかのようだった。
「やばいな、これはただの魔物じゃない。」 みりんが歯を食いしばりながら言った。「一体どうやって倒すんだ、こいつら?」
その瞬間、頭蓋骨の集合体が一斉に動き出し、サブたちに向かって飛びかかってきた。各々の顔が叫び声を上げるかのように震え、空間を歪ませながら迫る。
「くっ、反応が速すぎる!」 サブが叫び、蟠竜の尻尾で一掃しようとするも、無数の頭蓋骨がそれをかわし、いとも簡単に回避していく。
「みりん、あれを…あれをどうにかしないと!」 サブは必死に言葉を絞り出す。
「わかってる!」 みりんはその場で素早く舞い、刀を使って顔面を切り裂こうとする。しかし、その一撃が頭蓋骨に当たると、音も無く吸い込まれるように消えてしまう。
「無駄だ。」 異魚天が冷静に言った。「こいつらは物理攻撃では倒せない。魔力で浸食されている。」
その言葉を聞いたサブは頭を働かせる。目の前で無限に近い頭蓋骨の数が増え続ける様子を見ながら、何か方法があるはずだと必死に考える。
「サブ、魔力や!魔力で一掃するしかあらへん!」 みりんが叫ぶ。
「わかってる、だがその魔力は…」 サブが言いかけたその時、蟠竜が力強く空を飛び上がり、再度戦いに臨む。しかし、その攻撃も通用しない。
その瞬間、異魚天がすぐに刀を振り上げ、強力な魔力を込めて一撃を放った。
「これが最後の手段だ。」
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