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帰り道、私たちは無言のまま歩いていた。先輩が少しだけ視線を逸らして、黙って歩くその姿に、私は心の中で何度もため息をついていた。
(やっぱり、気になるな…先輩、ほんとはどう思ってるんだろう?)
昨日の帰り道、川瀬くんとのことでちょっとしたやり取りがあったけど、それでも先輩は無理してるみたいで…。
歩いているうちに、なんだか気まずくなってきた。
「先輩、なんか今日すごく気になること言ってましたよね…」
思わず口にしてしまう。私は、どんな返事が返ってくるか分かっていたけど、それでも聞かずにはいられなかった。
「……何だ?」
「昨日、川瀬くんと一緒に帰ってるのを見て、なんか気にしてるって言ってましたけど。」
「……それが、どうした。」
先輩はまた無表情を崩さずに言う。けれど、ちょっとだけその目が私を見つめ返す。その視線に、思わず胸がドキドキしてしまう。
「なんで、そんなに気にするんですか?」
「…別に。」
「本当に?」
「うるさいな、そんなこと気にするな。」
(あ、もう…素直じゃない!)
でも、その声には少しだけ焦ったような、強がりの感じがあって、私の心はさらにドキドキしてしまった。
「でも、気にしてるんですね?」
「…お前、意地悪だな。」
先輩は私に顔を見せずに歩きながら、少し口を噤んだまま黙ってしまった。
(先輩、やっぱり……)
私はその姿を見ながら、なんとなくその気持ちを感じ取った。
先輩は自分の気持ちを隠して、なんとか誤魔化そうとしているんだ。
(ああ、可愛い…)
「わかりました!でも、もし本当に気にしてるなら、これからはちゃんと先輩の隣にいますから。」
「…それはやめろ。」
先輩が一瞬振り返ったとき、私の目が見つめ合って、心臓が一瞬止まりそうになった。
「だって、もう1年生じゃないんだから。先輩の隣にいてもいいじゃないですか?」
「……。」
その言葉に、先輩は黙って歩き続け、少しだけ顔を赤くしたように見えた。
(あ、これは絶対…)
でも、私はその変化に気づかないふりをして、わざと明るく笑ってみせる。
「じゃあ、また明日、先輩の隣で歩かせてくださいね!」
先輩は無言で、でも少しだけ歩幅を広げて、私と並んで歩いてくれた。
(やった、少しは素直になったかな…?)
心の中で少しだけ安心しながら、私は先輩との歩幅を合わせた。
コーヒーな先輩は、砂糖をいれたような甘めが似合ってるのに。。。