ハリー『あ、アリス…?』驚いている。無理もない。『びっくりした?』確信しながら聞いた。ハリーもロンもハーマイオニーも頷いた。ロン『ええ、じゃああのアリスは?』ロンは部屋の端に居るわたしを指差して言った。『ああ、あれは分身みたいなものだよ』分身に向かって微笑みかけると分身は役目を終えたことを示すかのように顔から表情が抜け落ちた。そして目の色は赤くなり、納得したかのようにロンは頷いた。『アンブリッジはキミたちがこんなことしてるだなんて気にもないよ。』わたしは持っているだけの情報を皆に開示した。アンブリッジの動向を掴んで悪戯を仕掛けたいフレッドとジョージは熱心に聞き入っていた。それからは皆の実習をよく見ていた。アンブリッジのくる気配は一切感じられない。生徒が集まることは本来禁止されている。こんなスリルを感じたことなんてない。
そんなこんなでしばらく経った。ロンもハーマイオニーも守護霊を出していた。二人とも凄い。わたしも試してみたのだが守護霊がどうも不安定なのだ。フクロウだったり、シマエナガだったり…今回は子鹿ときた。変わりすぎ。アンブリッジはみんなの練習に気づいてないみたいだ。
ダンブルドア『アリスはおるかね?』静かな声と共にダンブルドアが談話室にやって来た。…よかった、他には誰もいない。わたしが駆け寄るとダンブルドアは微笑んだ。『…アリス、よく聞くのじゃ。今から君に一つ、試練を設ける。』アリス『…へ?』突然のことでわたしはクィディッチ今昔を取り落としてしまった。『え?…試練って…』わたしはものを知らない子供のように唖然とした。ダンブルドア『そう、試練じゃ。君の持つ羅針盤のことじゃが…それはどうやら本物ではないようじゃ。』情報が多い。この羅針盤が偽物?『その羅針盤はどうやらシエルによって細工されているようなのじゃ。シエルは本当に羅針盤を手にするのに相応しいかを選ぼうとしたと儂は思うのじゃ。と言っても思いつきじゃが…君には本物の羅針盤を探してほしいのじゃよ。』羅針盤を探すだって?別に構わないのだが一つ困ることがあるのだ。学校はどうすれば… アリス『あ、あの、先生…学校はどうすればいいのでしょう?』するとダンブルドアはにっこりと微笑みを浮かべ、『それは儂が何とかする…キミは気にせずに行くのじゃ。手がかりは…そうじゃな…君の昔日に見つけておろう。』そう言うとダンブルドアはマントを翻して歩いて行った。わたしは部屋に駆け戻った。そして教科書の間に挟んでおいた紙の切れ端を取り出した。『…これだ。』一年生の時に、父さんを調べた時になかった…いや、敗れたページだ。それからもことあるごとにこの紙は見つかった。そして見つける手段をダンブルドアはわたしに与えた。
テイミアの意識に侵入すること。
これが、羅針盤を見つけるための手段。間違いない。わたしはノートの切れ端を握りしめ、ベットに潜った。念の為、杖を手元に置き、普段着のズボンの中に羅針盤をポケットに入れた。それからローブを脱ぎ、緑のパーカーに着替えた。シーツを深く被り、何も考えずに意識を集中させた。
意識は落ちていった。